押出成形機の冷却水水温管理の重要性について
こんにちは、「技術と安心のサプライヤー」セールスエンジの杉山です。
当社へのお問合せで最近増えているのが、押出成形機の冷却水トラブルについてのご相談です。
押出成形とは
押出成形とは、押出成形機で加熱したプラスチック樹脂やゴムの素材を金型ダイスから高圧で押し出し、溶融樹脂やゴムが水槽を通し冷却水で冷やして固化する製造方法です。
押出成形機→金型ダイス→冷却水水槽→引取り装置→切断機の流れで製品がつくられています。
押出成形では、樹脂やゴムを加熱する際の温度管理や、押し出された後の冷却水の水温管理が製品のできに大きく影響されます。そのため、押出成形の生産では「水が命」だと言われます。
冷却水について
押出成形では、水槽に貯めた冷却水を、チラーや冷却塔(クーリングタワー)で冷やして循環利用されています。
プラスチック樹脂やゴムを冷やして固化されるため、常に一定の水温を保つ必要があります。
水温が変化すると、成型後の品質に歪や膨張などの影響が出るため水温管理は、とてもシビアに行う必要があります。
冷却水のトラブルについて
- チラー装置の高圧カット異常
チラーが水冷式の場合、冷媒ガスを凝縮器(コンデンサ)で冷やす際に冷却塔(クーリングタワー)でが使用されます。冷却塔を循環する冷却水の水質が悪く凝縮器でスケール障害が起きると冷媒ガスが冷えなくなり「高圧カット」と呼ばれるトラブルで、ガス圧異常が起きチラーが緊急停止します。すると、冷却水水槽の水温が上がり、成形不良が発生します。 - 雑菌によるストレーナの詰まり
冷却水水槽を循環している冷却水で雑菌や藻の繁殖が起きると、冷却水系内に設置されたストレーナが目詰まりを起こし冷却水が流れなくなります。チラーへ水が送られないと冷却水は冷えなくなります。 - チラー熱交換器の詰まり
冷却水に雑菌や藻などが繁殖すると、チラー内部のプレート熱交換器が詰まり冷却水が流れなくなります。
トラブル改善方法
冷却水は、同じ水を繰り返し使用するため、雑菌の繁殖はどうしても発生します。
改善方法としては、水処理用の殺菌剤を添加することで菌の繁殖を抑えることができます。
菌の繁殖が抑制されれば、ストレーナなどの詰まりは解消されます。
ただし、押出成形機では、出でてきた製品を水に浸けて、直接冷却するため、水処理薬剤が製品に影響がないかの判断を成分開示等で確認する必要があります。
まとめ
押出成形では、冷却水の水質によって製品の歩留まりが大きく影響を及ぼします。適切な水質管理は、生産性向上へとつながります。
また、押出成形では、水質汚濁防止法の特定施設に該当する場合がありますのでご参考までに。
水質汚濁防止法第二条第二項の特定施設について
http://www.env.go.jp/hourei/05/000128.html
33のロ、不純物、附着物等を取り除くため中間製品を水で洗浄する施設(直接水冷式の押出機を含む。)
YouTubeでも押出成形機の水質管理について、解説しています。