点検口の安全金網Kガードの誕生は、1本の電話から始まりました
開発がスタートしたのは1年程前、当社のホームページをご覧いただいた製鉄大手のゴミ焼却プラントメーカー様から「点検口の安全対策用金網」についてお問合せのお電話を頂いたことでした。
お客様:「私、製鉄大手のA社と申しますが、御社で点検口に取り付ける金網の見積りだけってお願いできますか?」
私:「えっ、A社様ってあの製鉄大手のA社様ですか」 この時、なぜA社様が取り引きも無い当社にお電話されたのか理由が全くわからず、しかし、わざわざお電話されたのには何か理由があるのではと思いながらお話を伺っていました。
私:「はっ、はい、点検口の金網だけをお見積りですね。標準の金網で良ければできますよ。サイズと数量はおいくつでしょうか?」
お客様:「合計すると、恐らく数千枚は必要です」
私:「数千枚?!そ、そ、そんな枚数の金網を何されるんですか???」
お客様:「自分たちが日本全国に建設したゴミ焼却施設のプラントに使用している点検口に安全対策を検討しており、使用している全ての点検口に金網を付けたいんです。それで、金網の見積りと現場で金網を付ける溶接工事も一緒に見積りをしてもらえませんか?」
私:「げ、げ、げ、現地の溶接工事もですか!!!」
お客様:「現場は、北海道から沖縄まで、何十ヶ所もありますが、現地工事まで御社でやってくれませんか?」
ざっと頭の中で計算しても金網の金額より、現地工事に掛かる費用の方が遥かに大きな金額でした。でも、これはひょっとしてビジネスチャンスかも!しかし、工事を安請負いをして大赤字を出したら会社が倒産するかもれん。これは、金網だけ注文貰えればいいな〜。
私:「も、申し訳ありませんが、お見積りと言っても現場も見ずに、概算で工事金額を見積もる事はできませんので、金網だけお見積りをさせてください」
お客様:「・・・そうですか。それでは、点検口用の金網だけ見積りを下さい」
私:「申し訳ありません」
電話を切った後、すぐに金網だけのお見積りのご回答をさせて頂きました。この時は、ひょっとしたら金網だけでも注文が来るかもしれんな〜って、能天気な考えを持っていました。今思えば、うちに対して金網の注文が来る筈ありません。お客様は、一部上場の大手企業様、点検口の金網だけならどこからでも買えますし、抱えられていた問題は、金網を購入する事では無く、金網を付ける現地工事が全国に転々としており手間とコストが掛かる事に困られており、それを解決できる事が無いかとインターネットで探していてた時に、たまたまうちのホームページを見てお問い合わせされたのですから、うちは、それに対して何の解決策もご提案もしていないのに、金網だけ注文を貰える筈がありません。
それから、一年程経った頃でした。
当社がお客様からご注文を頂いていた、コンベヤの納入日について打合せをしている時でした。お客様より「納入するコンベヤの点検口は、全部金網付いとるとやろね?」
「えっ?!点検口に金網ですか?」
お客様は、点検口に金網が付いてるのは当然だと言われ。「うちの工場内が安全対策に厳しいのは、ずっと取引しているんだから当然、知っとろうもん!」確かに言われて気が付きましたが、打ち合わせの際に、点検口には金網が必要かどうかの確認が必要でした。
しかし、その時点で、納期は目前でコンベヤは殆ど完成し塗装も終わっているくらいの工程で、後は、出荷を待つばかりの頃でした。今から、点検口に金網を付けるとなると数十ヶ所付いており、金網を溶接する部分の塗装を剥がし、金網を溶接、また仕上げの塗装をしなくてはならないので、時間もかかるしお金も掛る、出荷までに納期もないし、困ったなどうしよう。本当に困ったぞ。
更に問題が、金網の取り付けをコンベヤの出荷前に終わらせておかないと、出荷後は高さ20m程ある場所に設置される為、それこそ現場での溶接工事にはとんでもないコストが掛かる事が分っていました。
慌てて、コンベヤの製作状況を確認すると、運良く製作が遅れており、塗装前だったので「申し訳ないですが、追加で点検口に金網を付けて下さい!」急きょ点検口に金網を溶接する事にしてもらい、どうにか出荷までに対応する事ができ、無事納入する事が出来ました。
「あ〜点検口に金網の溶接って本当に面倒くさかね〜。」
その時でした、1年前の問合せを急に思い出しました。
「あっ、そうか、そうか、そうだったのか!!!溶接を不要にすればいいんだ!」
ようやく気が付きました。あの時、お問い合わせいただいたA社様が、困られていた事に!
点検口に金網を付ける時に溶接が必要だから、後で金網を付けようとすると、現場での溶接工事だの塗装の仕上げだのと言った問題がありました。作業者の方が日常的に給油や検査などで機械の運転中に点検口を開く事があり、不注意で巻き込まれる事故が起こっておりました。A社様は、ISOやリスクアセスメントの問題で、既設の点検口に金網の設置が必要になったんです。
そこで問題となったのが、現地での金網の溶接工事でした。ゴミ焼却施設は、内部に入ると機械の至る所に点検口が使用されています。施設一か所の溶接工事も大変ですが、それが全国に何か所もあるとなると、工事を管理するだけでも大変な作業です。A社様は、現場で点検口に金網を溶接する工事に困られていたんです。
よし、俺が溶接不要で後付けできる点検口用の金網をつくる
丁度その頃、商社として以外に、自社で作ったモノを何か販売出来ないかと考えていた頃でもあり。早速、設計に入り金網なんて簡単に出来ると思いながら作ってみると、いざ試作品ができ点検口に取り付けると、あれっ、うまく固定できずに簡単に外れる。正直、ものづくりを舐めてました。
※試作品第一号のKガード
そこから、何度も試作を繰り返し、試行錯誤のすえ1年後にようやく全国で販売できるレベルのものが完成しました。あれから2年が経過してましたが、早速、以前お問合せ頂いたA社様にご連絡を取りました。しかし、残念な事にお問合せを頂いた担当者の方は、1ヶ月前に定年退職されており、お話しする事が出来ませんでした。
恐らく安全対策はお済だったと思うのですが、この【点検口の安全金網 Kガード】が生まれる切っ掛けを頂いたお礼を一言、言いたかったのですが、お会いできずに非常に残念でした。
点検口が問題で、作業者の方が機械に巻き込まれる労災事故は後を絶たず、死亡事故まで起きております。そう言った事故が原因で、平成25年10月には労働安全衛生規則第107条も改正されております。私達の目標は、全国で使用されている危険な箇所の点検口に【点検口の安全金網 Kガード】を普及させ、点検口に関する事故を無くし、多くの方々に安全と安心を提供する事です。
溶接不要、点検口に3分で安全対策!【点検口の安全金網 Kガード】をよろしくお願いします。
「ご安全に!」