冷却塔(クーリングタワー)の腐食を調査する方法
こんにちは、「技術と安心のサプライヤー」セールスエンジの杉山です。
クーリングタワーの冷却水系統で、スケールの付着と設備や配管の腐食が起こり、補修を繰り返されていたお客様より、「補修費の削減と設備の延命で困っている」とのご相談を頂きました。
とくに、九州地域の水質は不純物(カルシウムやシリカ)が多いため、冷却水のトラブルが非常に多いんです。
今回は腐食について、改善例をご紹介します。
これまでも、水処理装置の導入を検討はされてきましたが、「導入しても効果がなかったら困る」とのことで水処理装置を導入されていませんでした。
そこで、スケールや腐食、藻の繁殖がどのように改善するかを実感していただくために、”冷却水管理システム“のテスト機をご提案いたしました。
お客様の設備にテスト機を無料で設置し、6ヶ月間、水処理薬剤の注入と水質管理をおこない変化を調べます。※ただし、テスト期間中の薬剤については有償となります。
テスト期間が、6ヶ月間と長いように思われますが、水処理薬剤は即効性がありません。薬剤を添加してすぐに、水質が良くなるものではなく、藻の繁殖や腐食の進行、スケールの屑が取れてきたりといった現象が確認できるには、長い期間かけて水質が変化を見る必要があります。それと、クーリングタワーはお客様の設備ごとに冷却能力や配管の構成が違いますので、手さぐりで設備内容を把握するため、安定した水質管理を行なえるようになるまでには時間がかかるんです。
ということで、お客様の設備に”水質管理システム”のテスト機を設置しました。
今回は、同じ能力のクーリングタワーが複数設置されていたましたので、比較で効果がわかるように2基で検証を行います。
- No.1:水質管理システムを設置したクーリングタワー
- No.2:何も水処理を行っていないクーリングタワー
下の写真は、鉄(SS400)のプレートです。表面をピカピカに研磨しサビやすくしています。プレートを2枚用意し、No.1、No.2クーリングタワーの冷却水に浸し腐食を調査します。
下の写真は、冷却水管理システムを設置し、クーリングタワーの冷却水に金属プレートを浸した3ヶ月後の比較です。
- 左は、No.1冷却水管理システムを設置したクーリングタワーの金属プレート
まだら模様が見られますが、冷却水処理剤の防食効果でサビは進行していません。 - 右は、No.2何も水処理を行っていないクーリングタワーの金属プレート
わずか、3ヶ月で錆こぶが発生しボロボロの状態です。設備や配管に穴が開いて、水漏れのトラブルが多かったのは、冷却水の水質異常が原因だったことが分かりました。
冷却水管理システムのテスト期間中は、毎月水質分析を行います。水は分析して数値化することで、トラブルの症状が分かるようになります。
一つの例として、設備にシリカスケールが析出している場合、冷却水中に溶けていたシリカの成分が減少したりします。水処理薬剤を添加すると、シリカのスケール化が止まり、水に溶けだしてくるのも分析値でわかります。
テスト機を使って、実際にお客様の設備で、水質の変化を見ていただく事ができます。