海外へ送ったギヤモータのクレーム不具合調査
以前ブログで書いた「海外へ送ったギヤモータのクレーム」のその後の話です。
海外へと送ったギヤモータが試運転中に「モータが回転せんぞ」と言うクレームがありました。
お客さんは、普通に結線したけど動かないのでモータの初期不良だと言われるが…
「初期不良って、そんか事は無かですよ」と言いたいけど…状況が判らないので反論できません。
一旦帰国し1週間後にまた海外へと向かうので、それまでに新品を用意して欲しいとの事。
と言われても、海外向けのモータで電圧が380V仕様、製作には2〜3週間程かかる特殊品
それを、1週間でとは…
出発までに間に合わなければ、納期が無いので私にタイまで持って来て欲しいと…
モータがトラぶっている事でお客さんも困られているのはわかります。
こんな時は、メーカーさんに事情を説明し何とかして欲しいと頼み込むしか方法は無く
しかし運にも見放されたか、その週末は不運にも3連休です。
金曜日までに発送してもらえなければモータを抱えた一人旅が現実になってしまう。
まさに最大のピンチだ。
すると、半ばあきらめていた週末、メーカーさんより本日発送しましたとの連絡が奇跡的に入った。
お客さんが日本を立つ直前に品物が間に合い、タイ日帰り弾丸ツアーは無事中止となった。
問題の不具合が起こったギヤモータはと言うと、お客さんが帰国の際に手荷物で持ち帰ってこられ
お客さん「空港税関で持ち込み検査に引っ掛かったら、空港のゴミ箱に捨てようと思った」
こんな物が空港ロビーのゴミ箱に入っていたら、不審物で大騒ぎになったでしょうね。
早速トラブルの原因を調べるためモータを回したいが電圧380Vの海外仕様なので200Vしか無く動かせない。
お客さんの話によれば一度だけちょっと動いて、その後動かなくなったらしく普通に結線した以外には何もしていないとの事。
モータが焼ける事は考えにくくブレーキ付モータの為、何かの不具合でブレーキが効いてモータがロックしているのでは?
だとしたらブレーキが解放されない原因は何んなのか?
自分でバラすと組立てる時、だいたいネジが数本余ってしまうので…
何も触らずメーカーさんに送り不具合調査の依頼をし濡れ衣を晴らす…いや初期不良の原因を調べてもらう事にしました。
不具合調査依頼をすると、こちらで製品の取り扱いに問題があった場合は有料となります。
しかし、原因が判らないとお客さんも納得できずに不良品としてクレームになり「一生そのメーカーは使わない」なんて事に。
不具合調査や修理などをメーカーさんに依頼する場合は、先に依頼番号を連絡してもらいます。
その番号をガムテームを貼って明記しておきます。
工場では他の修理品などが一杯あるので大事な証拠品が紛失しない様に対策し発送へ
10日後、不具合調査報告書が送られてきました。
結果は黒です。限りなく黒。
原因は、海外で雇われた電気屋さんが端子箱のケーブル引出口の方向を変えられていました。
その際に、電磁ブレーキの電源をAC⇒DCに変換する電源モジュールのリード線を端子箱と端子台の間に挟まれ絶縁抵抗が低下したことで地絡しショートしたのが原因です。
しかも、挟まれたリード線の部分にビニールテープが巻かれており…証拠隠ぺいの疑いが。
電源モジュールを取り外しビニールテープをはがすと、リード線が挟まれた部分が折れ曲がっています。
間違いありません。犯人はお前だ!
この電源モジュールの破損が原因で、電源を入れても電磁ブレーキが解放されずにモータが回りませんでした。
ブレーキを手動で解放し電源を入れるとモータは正常に回転し焼けてませんでした。
タイで雇われた現地の電気屋さん「日本ではこんな事せんやろ」みたいな事をやられてました。
不具合の原因が判ったことで、調査報告書と海外に送った新品ギヤモータの請求書をお客さんに提出すると納得いただき、ようやくクレームは終息です。
クレームがつくと時間と労力が掛りますが、対処の仕方でお客さんからの信頼度はUPします。
ギヤモータでお困りでしたら、大牟田・荒尾地域の方、お気軽にご連絡どうぞ!