Vol.25 丸形冷却塔(クーリングタワー)が冷えないので困っている
丸形冷却塔(クーリングタワー)が冷えないトラブルについて、改善事例をご紹介いたします。
お客様からの相談内容
冷却塔(クーリングタワー)が冷えなくて困っており、冷却水の水温が下がるようにして欲しいとのご相談をいただきました。

現場の状況
熱処理炉で使用されている丸形冷却塔(クーリングタワー)で冷却水が冷えず、水温がかなり上昇していました。冷却塔のルーバーを外し中をのぞくと、充填材の間から水が滝のように流れていて散水不良の状態でした。
冷却水が冷えない原因は、散水不良だと判明しました。

トラブルの原因
丸形冷却塔には、充填材に冷却水を散水する散水装置(スプリンクラー)がついています。
冷却塔の点検窓からのぞくと塩ビの散水パイプが回転しているのが見えます。正常な状態は、散水パイプがゆっくり回転していますが、散水装置(スプリンクラー)にゴミなどが詰まると回転できずに散水不良になります。
回転不良で充填材に満遍なく降り注がれないと、風との接触面積が減り水が蒸発できなくなることで、冷却水が冷えなくなります。散水装置(スプリンクラー)は、回転不良のトラブルが多いので定期的に点検を行うことをお勧めします。

こちらの動画は、散水装置(スプリンクラー)が正常に回転している様子です。
トラブル改善のご提案
散水装置(スプリンクラー)の中央のロータリージョイントが摩耗をしていたので、スプリンクラーを新品に交換しました。

散水装置(スプリンクラー)は、点検口から散水パイプの中を洗える構造になっていますので、藻やスケールの屑を定期的に洗い流してください。※メーカーによっては点検口がない機種もございます。その際には、冷却塔の本体を分解するか、上部のファンモーターを取り外す必要があります。

YouTubeで冷却塔(クーリングタワー)の清掃方法と使用する高圧洗浄機などの道具について、詳しく解説していますので、ご視聴ください。
冷却塔(クーリングタワー)が冷えない原因
冷却塔(クーリングタワー)が冷えない原因は、以下のことが考えられます。
冷却水の散水不良
角形冷却塔の場合
上部に水をシャワー状に降らせる水槽があります。この散水孔が詰まって水をシャワー状に降らせることがができないと、冷却水は冷えなくなります。
対策:上部散水槽の散水孔をデッキブラシで掃除し目詰まりを解消する。
角形冷却塔が冷えなくなる原因について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
丸形冷却塔の場合
却塔内のスプリンクラー(散水装置)が正常に散水しない場合、冷却水が冷えません。これは、水を散水しているスプリンクラーが回転していないことによるものです。スプリンクラーは、水の勢いで回転する必要があります。
対策:スプリンクラー(散水装置)の故障や詰まりをチェックし、必要に応じて修理または交換を行う。
循環水量の過不足
冷却塔内での循環水量が過多または不足している場合、冷却水が十分に冷えないことがあります。
対策:冷却塔の設計仕様記載の水量に調整し、循環水量を正常に保つ。
給水圧の低下
冷却水の給水圧が低い場合、冷却水が十分に供給されず、冷却塔の冷却効果が低下します。丸形冷却塔のスプリンクラー(散水装置)は、水の勢いで回転しているため給水圧が低いと回転しなくなります。
対策:給水圧を確認し、ストレーナーやフィルターなどが目詰まりしていないか確認を行う。
冷却塔内の詰まり
冷却塔内部でゴミや藻などの滞留物が蓄積し、冷却水出口のストレーナーが詰まると、循環水が流れず冷えなくなることがあります。
対策:定期的なストレーナーや下部水槽に溜まった汚泥や藻などの清掃と点検を行い、滞留物を取り除く。
冷却塔(クーリングタワー)の清掃について、ご相談はこちらをご覧ください。
ファンの故障
冷却塔のファンが故障すると、冷却効率が低下します。
対策:ファンの点検と必要な場合の修理または交換を行う。
冷却塔(クーリングタワー)の点検について、ご相談はこちらをご覧ください。
よくあるご質問
冷却水の水温上昇の主な原因は何ですか?
冷却水の水温上昇の主な原因は、冷却水の配管や冷却塔内にあるストレーナーの目詰まり、冷却塔の上部散水槽で発生する藻の詰まり、そして丸形クーリングタワーのスプリンクラーの不良などが挙げられます。これらの要因が水の流れを制限し、水温の上昇を引き起こす可能性があります。
冷却水の配管や冷却塔のストレーナーの詰まりを防ぐ方法は何ですか?
冷却水の配管や冷却塔のストレーナーの詰まりを防ぐ方法は、 定期的な点検と清掃を行うことです。これによって詰まりを予防し、水温の上昇を避けることができます。藻の繁殖による詰まりを防ぐには、殺藻剤によって繁殖を防ぐことができます。
冷却塔の上部における水の流れの問題を解決するための対策は何ですか?
角形冷却塔(クーリングタワー)の上部における水の流れの問題を解決するための対策は、上部散水槽の藻の発生を防ぐために、定期的な清掃と保守を行うことです。これにより、水の流れの問題を解消し、水温の上昇を防げます。
夏場における冷却設備の点検の重要性について教えてください。
夏場における冷却設備の点検の重要性は、水温上昇を防ぐために非常に重要です。定期的な点検によって、冷却設備のトラブルを予防し、生産設備の停止などの問題を避けることができます。
お客様の声
「冷却水が冷えない原因が分からず困っていましたが、迅速に対応していただき散水パイプを交換後は良く冷えるようになりました」
当社では、丸形冷却塔の散水不良トラブルについて、改善のご提案を行っています。冷却塔の修理から清掃までご対応しております。冷却塔(クーリングタワー)のトラブル改善については、「冷却塔トラブル改善プロ」まで、お気軽にお問い合わせください。