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冷却塔トラブル改善プロ

冷却塔とは

冷却塔に関する概要・仕組み・用途・故障のケース・
点検方法等をご紹介しています。

冷却塔とは

冷却塔(クーリングタワー cooling tower)とは、水などの熱媒体を大気と接触させて冷却する装置のことです。冷却塔は、空調や発電などの産業において、熱を効率的に排出するために必要な設備です。分野で広く利用されています。

冷却塔の原理

冷却塔(クーリングタワー)の原理は、水の蒸発による気化熱を利用することです。水が蒸発するときに周囲の熱を奪っていくため、水の温度が下がります。冷却塔は、この現象を最大限に活かすために、水を細かく噴霧したり、空気との接触面積を大きくしたり、送風機やファンで空気の流れを促進したりします。

冷却塔の各部の名称とはたらき

散水装置

冷却塔(クーリングタワー)の散水装置とは、冷却塔の上部に設置された装置で、冷却水を充てん材に散水することで冷却水の温度を下げる役割を果たします。冷却塔は気化熱の原理を利用して、冷却水と外気を接触させることで冷却水の一部が蒸発し、残りの冷却水の熱を奪っていきます。散水装置はこの接触面積や時間を増やすことで、冷却効率を高めます。開放式では冷却水自体が散水されますが、密閉式では冷却塔内で循環する散布水が散水されます 。
散水装置は、定期的に清掃やメンテナンスが必要です。散水孔の目詰まりやスケールなどが原因で散水量が減少したり、散水パターンが乱れたりすると、冷却効率が低下したり、冷却不足や過冷却などの問題が発生したりする可能性があります 。

充填材

冷却塔(クーリングタワー)の充填材とは、冷却塔内で熱交換を促進するために設置される素材のことです。充填材の働きは、冷却水と空気の接触面積を増やし、水の蒸発量を増加させることで、水の温度を下げることです。充填材の材質には、塩化ビニール、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂などがあります。充填材の選択は、冷却塔の種類や用途、水質や気温などの条件によって異なります。冷却塔の充填材は、冷却塔の効率や寿命に大きな影響を与える重要な部品です。

エリミネータ

エリミネータとは、冷却塔の中で空気に含まれる水滴を除去する装置のことです。冷却塔は、水と空気を接触させて水の一部を蒸発させることで、冷却水の温度を下げる仕組みですが、その際に空気に水滴が混ざってしまうことがあります。この水滴は、冷却塔の外に飛散してしまうと、水の無駄や周囲への影響などの問題が生じます。そこで、エリミネータが空気と水を分離して、水滴を回収する役割を果たします。

冷却ファン

冷却ファンとは、冷却塔の上部に設置された送風機のことで、外気を冷却塔内に吸い込んで冷却水と接触させる役割を果たしています。

冷却ファンは、冷却水の温度に応じて制御する必要があります。なぜなら、外気温度が低い場合には、ファンが常にフル稼働していると、冷却水が過冷却になってしまい、無駄なエネルギー消費や経年劣化を招くからです。また、ファンが故障すると、冷却塔の能力低下や猛暑の中で冷房が効かないという問題が発生する可能性があります。

ファンの制御方法には、主に二つあります。一つは、ファンのON-OFF運転で、冷却水の出口温度の上限と下限を設定しておき、水温が下限に達したらファンを停止し、上限に達したらファンを運転させる方法です。もう一つは、インバーターによる回転数制御で、モーターの回転速度を細かく変えることができる装置を使って、水温に応じてファンの回転数を調整する方法です。インバーター制御は、ON-OFF制御よりも精度の高い制御が可能で、省エネ効果も高いとされています。

電動機

電動機は、冷却ファンを駆動するための電力源です。電動機は、一般的に三相交流電源を使用し、定格出力や回転数などの仕様があります。

ファンベルト

ファンベルトは、電動機と冷却ファンの間に設置されたベルトで、電動機の回転力を冷却ファンに伝達します。ファンベルトは、摩耗や伸びなどの劣化に注意して定期的に点検や交換が必要です。

銅コイル

銅コイルは、密閉式冷却塔の内部に設置された銅製の管(チューブ)で、温水と空気との間で熱交換を行います。銅コイルは、高い熱伝導率や耐食性を持ちますが、汚れやスケールなどによって熱交換効率が低下する可能性があります。

下部水槽

下部水槽は、冷却塔の底部に設置された水槽で、散水した水の一部を回収して再利用します。下部水槽には、排水口や循環ポンプなどが設けられています。

ストレーナ

ストレーナは、下部水槽から循環ポンプへと送られる水中の異物を除去するためのフィルターです。ストレーナは、定期的に清掃や交換が必要です。

ボールタップ

下部水槽に設置された浮き球式の弁で、水位を自動的に調整して過剰な水の流出を防ぎます。 ボールタップは、浮き球と弁体から構成されており、浮き球の位置によって弁体の開閉を制御します。

膨張タンク

冷却水が温度変化によって膨張・収縮することを吸収するためのタンクです。

冷却水ピット

冷却塔(クーリングタワー)から排出された冷却水を集めるための貯水槽で、再利用や処理のために送水管に接続されています。

水質管理装置

冷却塔(クーリングタワー)の循環水に含まれる微生物やスケール、腐食などの問題を防止するための装置です。
水質管理装置のテスト機貸出しについてはこちらをご覧ください

冷却塔の水質管理について

冷却塔(クーリングタワー)の水質管理方法については、以下のような手順を踏むことが一般的です。

  1. 冷却塔の水質を定期的に測定し、pH、導電率、硬度、塩素濃度、微生物数などの指標を確認します。水質が基準値から外れている場合は、原因を特定し、適切な対策を行います。
  2. 冷却塔の水質に影響を与える要因として、外部からの汚染物質の侵入、内部での蒸発や濃縮、生物学的な活動などがあります。これらの要因を抑制するために、冷却塔には適切なフィルターや殺菌剤を使用し、定期的に洗浄や除菌を行います。
  3. 冷却塔の水質管理には、化学的な方法と物理的な方法があります。化学的な方法では、スケール防止剤や水質調整剤、防食剤、防藻剤(スライムコントロール剤)などを添加して水質を改善します。物理的な方法では、超音波や紫外線などを利用して水中の汚染物質や微生物を除去します。
  4. 冷却塔の水質管理は、冷却効率や設備の寿命に大きく影響します。また、冷却塔から発生するエアロゾルによってレジオネラ属菌などの伝染病やアレルギーなどの健康被害が発生する可能性もあります。そのため、冷却塔の水質管理は重要な環境保全や安全管理の一環として行う必要があります。

冷却塔の修理、メンテナンスについて

冷却塔(クーリングタワー)の修理やメンテナンスは、冷却効率を高めるとともに、故障や事故のリスクを低減するために重要です。冷却塔の故障や劣化は、冷却能力の低下や消費電力の増加、水漏れや異音などのトラブルを引き起こす可能性があります。そのため、定期的な点検やメンテナンスが必要です。

冷却塔の修理方法は、故障の原因や症状によって異なりますが、一般的には以下のような手順で行われます。

  1. 故障箇所の特定:冷却塔から水温が下がらない、水飛散が発生する、異音や振動がするなどの症状が見られた場合は、故障箇所を特定する必要があります。故障箇所は、モーター、ファン、ベルト、軸受ユニット、充てん材、散水装置、水槽などが考えられます。
  2. 部品の交換:故障箇所の部品が劣化や損傷している場合は、新品と交換する必要があります。部品の交換は、専門業者に依頼するか、自分で行うことができます。自分で行う場合は、メーカーや型式に合った部品を用意し、取扱説明書やマニュアルに従って作業を行ってください。
  3. 清掃:部品の交換だけでは不十分な場合は、清掃を行う必要があります。清掃は、水槽や充てん材などの汚れを除去することで、冷却効率を向上させることができます。清掃は、水圧や薬剤を用いて行うことができます。
  4. 点検・調整:修理後は、点検や調整を行ってください。点検や調整は、冷却塔の性能や安全性を確保するために重要です。点検や調整は、循環水量や風量などの設定値を確認し、必要に応じて変更することで行います。

以上が冷却塔の修理方法についての説明です。
冷却塔(クーリングタワー)の修理やメンテナンスは、専門的な知識と技術を要する作業です。そのため、冷却塔の修理やメンテナンスを行う際には、必ず冷却塔のメーカーや販売業者、あるいは冷却塔に関する資格を持った技術者に依頼することをお勧めします。冷却塔の修理やメンテナンスは、定期的に行うことが望ましいですが、その頻度や方法は、冷却塔の種類や規模、使用環境などによって異なります。そのため、冷却塔の修理やメンテナンスに関する詳細な情報は、冷却塔の取扱説明書や保守マニュアルを参照するか、専門家に相談することをお勧めします。