ピンチをチャンスに変える経営者の挑戦
コロナショックがもたらした大不況は、まさに国難ともいえる状況です。リーマンショックが「100年に一度」と呼ばれていたのに、それからわずか十数年でまた同じような危機が訪れました。私自身も、会社を起業して半年後にリーマンショックを経験しました。
資本金も乏しい中での起業。貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)の見方もよくわからず、不況がもたらす影響を想像する余裕もありませんでした。ただただ、不安で眠れない夜を過ごしたことを覚えています。
当時、私たちの仕事は工場向けの機械販売が主でした。しかしリーマンショックで企業の設備投資が一気に止まり、取引先からの受注も激減。製造業が直撃を受けた不況の波で、たった一社しかなかった取引先との関係にも陰りが見えました。「このままでは会社が潰れる」という危機感が日増しに募りました。
そこで、わらにもすがる思いで始めたのがインターネット通販。簡単に商品をネットに掲載し、全国に売れると思い込んでいました。しかし、当時のBtoB市場では顔の見えない取引が信用されず、さらに価格競争が激化して、数年で撤退を余儀なくされました。
この経験を通じて学んだのは、業績不振だからといって慌てて新しいことを始めても、成功には繋がらないということです。ビジネスモデルにアイデアがなく、戦略と戦術が練られていなければ、どんな取り組みも空回りします。
しかし、誰もやっていない新たなサービスや商品は、どんなに不況下であってもニーズがあれば売れるのです。だからこそ、経営者は知恵を絞り、アイデアを磨き続ける必要があります。「あきらめ倒産」はまだ早い。明日を変えるには、今日を変える勇気が必要です。
コロナウイルスは必ず終息します。ただし、その時また同じビジネスが成り立つ保証はありません。今こそ新たなビジネスを創造するタイミングです。不景気を言い訳にせず、ピンチをチャンスに変えた先には必ず明るい未来が待っています。頑張る経営者に、エールを送りたいと思います!