株式会社セールスエンジ

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フロン排出抑制法の改正と現場の現実

皆さん、「フロン排出抑制法」が改正されたことをご存じでしょうか?環境省の公式サイトにも情報が掲載されていますが、この改正により、特に工場や業務用施設にとって厳しい管理義務が課されることになりました。

この法律、正直なところ「かなり面倒」です。具体的には、エアコンやスポットクーラー、ターボ冷凍機、チラー装置、ショーケース、製氷機、自動販売機など、圧縮機の容量が7.5kW以上のフロン使用機器の管理が非常に厳しくなります。7.5kWと聞くと大きそうに感じますが、工場内ではむしろ一般的なサイズで、家庭用より少し大きい機器のほとんどが該当すると考えていいでしょう。

義務化された点検の負担

改正法では、以下の点検が義務付けられています:

  • 簡易点検:保有者が3カ月に一度目視で行う(資格不要)
  • 有資格者による法令点検:年に1回、高圧ガス製造保安責任者や冷凍空調機器施工技術者などの資格を持つ者が実施

さらに、対象機器のリスト作成と点検記録の保存も必要です。これが特に大きな課題で、大規模工場の場合、リスト作成が膨大な作業になります。例えば、500人規模の工場では、エアコンやチラー、コンプレッサーなどを合わせると300台以上になることも珍しくありません。

屋外設置機器の管理の難しさ

室外機の設置場所にも問題があります。屋根の上や屋外の目立たない場所にあることが多く、名盤が古くなって製造番号が見えなくなっていることもしばしばです。名盤が読めなければ7.5kW以上かどうかすら判断できず、リスト作成すら困難です。

現場の負担と環境保護のバランス

法律を遵守しないと罰則が科されるため、企業としては対応が必須です。一方で、フロンが環境に与える影響を抑えることは重要であり、地球を守るために必要な取り組みであることも理解しています。ただ、その負担が非常に大きいことは否定できません。

点検が義務化され、設備の稼働状況を細かく把握することで、フロン漏えいを防ぐことが目的ですが、現場では「物理的に無理」と感じる場面が多々あります。3カ月ごとに300台もの点検を行うとなれば、点検が終わる頃には次の3カ月がやってくる状況です。

今後の課題

現場での対応が追いつかない中、業務の効率化や管理システムの導入が必要になるでしょう。また、業界全体での支援体制の構築や、現場目線での柔軟な運用方法の提案も求められるのではないでしょうか。

この改正法、間違いなく大変な法律です。ですが、対応しなければならない以上、現場が少しでも楽になる工夫を考えながら進めていくしかありません。本当にどの企業も対応できるのか、不安を感じるところではありますが、一緒に知恵を出し合って乗り越えていきたいですね。

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