思い込みでの機器選定が招くトラブル、事前確認の重要性
近頃のメーカーは、お客様の使用目的を詳しく聞かずに、自分たちの思い込みで機器や部品を選定することがある。
先日、特殊なコンベヤチェーンのスプロケットについて見積りを依頼した際、メーカーから「コンベヤは正逆運転することがありますか?」と質問があった。
お客様に確認すると「正逆運転はある」とのことだったので、そのままメーカーに伝えると、「でしたらスプロケットの歯形が特殊になります」との返答。
特殊とはどういうことか?意味が全く分からない。
チェーンが特殊なものなので、それに合わせたスプロケットのことなのかとも思ったが、納入後に間違いがあれば大問題になる。お客様も「正逆運転するからといって、スプロケットの歯形を特殊にしたことなんて今までない」と疑問を抱かれていた。
そこで再度メーカーに確認すると、通常はチェーンが伸びてもスプロケットに掛かるように歯形にクリアランスを持たせるが、特殊仕様ではそのクリアランスを少なくするという。
しかし、それではチェーンが少し伸びただけでスプロケットに乗り上げ、すぐに交換が必要になってしまう。
メーカーに「正確な位置決めが必要な用途ではない」と伝えると、「それなら通常のスプロケットで問題ありません」とのことだった。
このやり取りに一週間かかった。
最初からお客様の要望をしっかり把握していれば、こんな手間はかからなかったはずだ。
現状を把握せず、思い込みで仕様を決めると、納入後に大きなトラブルへと発展しかねない。そうなれば、お客様にも迷惑をかけることになる。
こうしたトラブルを事前に回避するために大切なのは、初めの段階でお客様としっかり話をすること。じっくりと要望を聞き、用途を正しく理解することが、この仕事では最も重要だと改めて感じた。