商社としての「強み」が活きた、念願の大口受注
今年に入り、新規で取引を開始したプラント機器メーカーのお客様から、ついに大口の注文をいただきました。
これまでも小口の注文はあったものの、大きな発注には至らず、予算取りの見積もりが続いていました。
このお客様には別の商社も関わっていましたが、うちに目を向けていただけるようになったきっかけは、他の商社が断った予算取りの見積もりを、うちが素早く回答したことでした。
今回の注文も、数か月前に予算取りの見積もりをした案件でした。
予算取りの見積もりは「今すぐ」と言われることが多いのですが、他の商社は回答が遅く、お客様が予算取りの見積もりを作れずに困っていました。
しかも、予算取りの見積もりは仕様が大雑把なので、商品知識がないとすぐに回答できません。この業界では、内容が不明でも見積もりを出さなければならないことが多いのですが、他の商社はそれができていませんでした。
お客様にも、その先のお客様がいるため、見積もりが出せないと注文が取れない。つまり、他の商社の対応の遅さがボトルネックになっていたのです。
正式な見積もりで競争に
お客様からの連絡はこうでした。
「杉山さん、前に見積もりしてくれた機械部品のコンベヤ、注文取れたよ。でも、会社の決まりで3社見積もりを取らないと発注できないから、正式な見積もりを出してくれる?」
「予算取りの見積もりはザックリだったので、改めて正式なものを作りますね。」
「3社とは言っても、どうにでもなるけん。」
他の商社にも見積もりは依頼するものの、最終的にはうちに発注するつもりだと言われました。ただし、価格が極端に違わなければの話。
正式な見積もりを提出しに行くと、他の商社もすでに金額を回答していました。予算取りのときと違って、正式な見積もりは異常に早い。
それもそのはず。購入品の仕様打ち合わせは、うちが行い、型式もすべて明かしていたので、メーカーに問い合わせれば誰でも見積もりが出せる状態だったから。
すると、お客様が相手の商社の見積書を持ってきて、
「杉山さん、この金額よりちょっと安くならんね?」
「はい、分かりました!」
普段の営業では、自分からお客様に他社の価格を聞くことは一切ありません。価格を聞いて値段を下げても、お客様自身がうちから買いたいと思っていなければ意味がないからです。
相手の商社は、なぜ自分のところに注文が来なかったのか理由が分からないでしょう。安売りされたと思っているかもしれませんが、お客様には注文をする理由があります。
品質、価格、納期の三つの条件を満たすことが重要です。うちは、この三つの条件をすべて満たしていました。
一方、他の商社は価格と納期は満たしていましたが、品質の面で足りていませんでした。ここでいう品質とは、商品知識、予算取り見積もりの対応、納入後の素早いトラブル対応といったサービス的な部分です。
商社としての強みを活かし、今回の案件を受注できたことはとても大きな意味を持つと感じています。