商売は「サービスが先、利益は後」—スピード対応が信頼を生む
2ヶ月ほど前、新規開拓で取引をお願いしていたお客様から突然の連絡。
「ちょっとお願いしたい見積りがあるので来てくれんですか?」
何の見積りだろうとワクワクしながら伺うと、机の上にはミカンの段ボール箱…???
中を覗くと、なんと膨大な量の機械図面!
「この図面にのっている購入部品を拾い出し、概算でいいので全部見積ってもらえんですか?」
うわっ、マジっすか…図面の枚数はざっと3000枚。しかも、1週間以内に見積りを仕上げなければならない。話を聞くと、もともと他の商社に頼んでいたけれど、見積り期限になっても図面に目も通さずに断られてしまったとのこと。
「工事全体の予算額はわかっているんだけど、そのうち購入品がどれくらいの割合になるのかが分からなくて」
「ですね。でも、ざっと図面を見る限り、額は大きいですが、その予算額じゃ利益はほとんど残らんですよ。逆に大赤字じゃないですか?」
「そうだよね。でも見積りもせずに断るわけにもいかないんで、高くても一応出さないと、次の仕事がもらえなくなるから。図面に手書きで金額を入れてくれるだけでいいので、本当に申し訳ないけどお願いできませんか?」
「良かですよ。超概算でよかなら!」
というわけで、事務所に持ち帰り、即見積り作業開始!
昔はメーカーごとに部品を分けてリスト化し、見積り依頼をかけていたので回答を待つだけで何週間もかかっていました。でも今はインターネットがあるので、こういう作業は朝飯前。型番を検索すれば、ほとんどの部品はヒットするし、大手の機械部品問屋さんとPCがオンラインで繋がっているので、在庫情報や価格もすぐに確認できる。メーカー見積りが必要なものは、これまでの経験でザックリと弾き出しました。
社内で手分けし、図面に金額を次々と記入。ついでに図番ごとに金額をまとめ、お客様が集計しなくてもいいように見積りリストまで作成。
気がつけば、夜明け前…(´Д`)フウァ~~疲れた
それでも、膨大な量の概算見積りは一晩で終了!朝一番、お客様のもとへ見積書を持って伺いました。
「どげんしたとね?なんかあった???やっぱ、見積りでけんですか?」
「終わった・で・す・よ!」
「えーーーーーー、全部終わったとね!!!しかも、リストにまとめてあるし!後は製作費を足せば見積り提出できるやんね!ありがとう!!!助かった!」
結局、この見積りの案件自体は仕事につながりませんでした。でも、この一見無駄に思える仕事がきっかけで、その後、このお客様からは他社よりも真っ先に引き合いをいただけるようになりました。
やっぱり、商売は「サービスが先、利益は後」+スピード。困っているお客様にどれだけ迅速に対応できるかが、長期的な信頼関係につながるんですよね!