売上の波に振り回されない“選ばれ続ける仕組み”のつくり方
昔、うちの会社は機械販売が売上の8割を占めていて、毎月の数字に一喜一憂していました。売れた月はホッとするけど、売れない月は一気に不安になる。翌月はまたゼロからのスタート。まるでジェットコースターのような経営で、正直、経営と呼べる状態ではなかったと思います。ただ、日々の忙しさに流されていただけでした。
そんな中でコロナ禍が来て、大口の取引が止まり、売上が急減。ただ、その時に強く感じたのは「これは事業を見直すチャンスだ」という気持ちでした。ノートに事業の棚卸しを書き出しながら、ようやく気づいたんです。
焦点は営業力ではなく、ビジネスモデルそのものにあると。
単発ビジネスの限界に気づいた瞬間
機械販売という構造はどうしてもこうなります。
• 受注が単発で終わり、積み上がらない
• 景気やタイミングに左右される
• 相見積りで価格比較されやすい
• お客様との関係が短期で終わる
• 努力が資産になりづらい
どれだけ頑張っても、土台が安定しない限り、結果は揺れ続けます。
ここで初めて、マーケティングの本質に気づきました。
マーケティングは広告でもSNSでもなく、「選ばれ続ける仕組みづくり」。
そして、“積み上がるビジネスモデルを選ぶ”ことこそ、経営の大きな意思決定だということでした。
冷却塔の保守管理に全振りした理由
そこから、冷却塔の保守管理に事業を一本化しました。ストックビジネスに切り替えることで、翌月の売上が読めるようになり、安定した土台が生まれました。すると、安定が安定を呼ぶように循環が回り出します。
• 社員教育に投資できる
• 技術が積み上がる
• サービス品質が向上する
• 信頼が深まり、紹介が増える
• 価格ではなく“価値”で選ばれる
まさに「選ばれ続ける仕組み」が自然と形になっていきました。
事業を絞ったことで技術や知識が一点に集中し、専門性が深まり、お客様以上に現場を理解できるようになりました。すると、競争ではなく“指名”で選ばれるようになる。
この経験から強く感じたのは、中小企業にとって「専門特化」は最強のマーケティングだということです。広く浅くではなく、狭く深く。積み上げた専門性こそ、お客様の安心につながり、選ばれる理由になる。
ただ、一番難しかったのは「やらないことを決める」ことでした。売上の柱だった機械販売をやめるのは正直言って怖い。でも、その決断をしたからこそ、会社の強みが明確になり、価値が高まり、安定した成長が生まれました。
マーケティングは、新しいことに手を出すだけではありません。
• やらないことを決める
• 強みに集中する
• 積み上がる構造に変える
この3つこそ、中小企業が強くなるための根っこだと痛感しています。
振り返ると、あのタイミングで事業を絞った決断こそが、会社を大きく変えた分岐点でした。マーケティングとは、小手先ではなく“会社を強くするための土台づくり”。
大きな投資や派手な戦略はいりません。
必要なのは、「選ばれ続ける仕組みをつくる」ただそれだけです。
どんな小さな会社でも、仕組みをつくれば必ず強くなる。
その一歩は、“やることを増やす”のではなく、
「やらないことを決める勇気」から始まります。
中小企業こそ、仕組みで戦える。
これは、実体験として胸を張って伝えたいことです。

