【現場からの声】薬剤だけでは防げない、冷却水管理の本質とは?
今回は、九州以外(関東エリア)の地域で設備管理に携わっておられるご担当者様からいただいたご相談をもとに、冷却塔における水質管理の本質と、
「対処療法」から「予防保全」への意識転換の必要性についてお話しします。
この方は、製造業や設備管理の現場で、
本質的な改善=対処療法ではない管理に長年取り組んでこられた方です。
その中で、水質管理に対する現場の姿勢に違和感を感じ、ご連絡をくださいました。
対処療法(事後保全)では手遅れになる理由
冷却水に関するトラブルは、目に見えないところで静かに進行します。
そして、ある一点を超えたときに突然、設備停止などの重大トラブルとして表面化します。
それまでは
「なんとなくおかしい」
「今は動いているから大丈夫」
と見過ごされがちです。
しかし実際には、今問題が起きていなくても、5年後・10年後に突然大きなトラブルが発生することがあります。
たとえば、
- 配管のスケール閉塞
- 熱交換器の熱効率低下
- 腐食による水漏れや設備故障
といった不具合が、水が通るすべての場所で一斉に発生する可能性があります。
これがまさに、
「対処療法(事後保全)」の限界です。
トラブルが起きてからでは遅く、復旧には膨大なコストと時間がかかります。
だからこそ、
「予兆に気づき、未然に防ぐ」予防保全の考え方が重要になります。
「薬剤を入れていれば大丈夫」は誤解
現場で非常によく耳にするのが、
「薬剤はちゃんと入れているから大丈夫です」
という言葉です。
ですが、これは典型的な誤解です。
薬剤は、水質トラブルを防ぐための有効な手段の一つではありますが、薬剤だけでトラブルを完全に防げるわけではありません。
薬剤の効果は“環境が整っていてこそ”発揮される
薬剤は、あくまで補助的な存在です。
周辺条件が整っていなければ、本来の効果を発揮できません。
たとえばスケール防止剤の場合、
- 水の硬度
- pH(酸・アルカリ性)
- 設備側の温度帯
といった条件が、薬剤に適した範囲にあることが前提となります。
特に冷却塔(クーリングタワー)では、設備側の温度帯に応じて、スケールが析出しにくい濃縮倍数を設定します。
この設定が適切でないと、薬剤を入れていてもスケールが発生するという事態になりかねません。
つまり、
「薬剤を入れること」ではなく、「条件を整えたうえで薬剤を使用すること」が重要なのです。
水質管理の基準は現場ごとに違う
もう一つ重要なのが、水質管理の基準はすべての現場で共通ではないという点です。
地域の原水(水道水・井戸水など)は異なり、設備構成や運転条件も現場ごとに違います。
私たちは、こうした条件を踏まえ、現場ごとに経験に基づいた管理基準値を設定しています。
そのため、
「どこでも同じ管理」「薬剤を入れているから安心」
という考え方は、非常に危険です。
予兆に気づく力が冷却水管理のカギ
水質分析の数値には、必ずトラブルの予兆が現れます。
たとえば、
- シリカ値が極端に下がる
→ 系内でシリカが析出している可能性 - 鉄の値が上昇している
→腐食が進行している兆候
このように、
数値はトラブルの「結果」ではなく「予兆」を示しています。
ただし、これを読み取るには、水処理の知識と現場経験が欠かせません。
実際の現場では、
- 分析結果が記録されていない
- 数値が共有されていない
- 変化に気づく視点が育っていない
といった理由から、
予兆に気づかないままトラブルが顕在化してしまうケースが多くあります。
現場から寄せられた率直な声
ご相談いただいた設備担当者様からは、こんな言葉をいただきました。
「今は問題が起きていないから大丈夫」
「対処療法で回っているうちは問題ない」
こうした考え方が根強く、数年後に起こるリスクを具体的にイメージできていない現状がある。
だからこそ、現場や組織の中で、対処療法ではない考え方を伝えていきたい。
この言葉は、私たちにとっても大きな励みです。
最後に:私たちが大切にしていること
冷却水管理は、「薬剤を入れれば終わり」ではありません。
大切なのは、
- 数値を見る
- 変化に気づく
- 予兆の段階で手を打つ
という予防保全の考え方です。
私たちセールスエンジは、こうした水質管理を九州を中心に実践してきましたが、将来的には全国の現場にも同じ価値を届けたいと考えています。
設備を止めないこと。
現場を困らせないこと。
そのために、目に見えない水と真剣に向き合うこと。
それが、私たちの経営理念です。
▼ ご相談・ご質問はお気軽に
冷却水管理に関するご相談がありましたら、どんな小さなことでもお気軽にご連絡ください。

