「人がいない」と嘆く前に。廃業ラッシュの時代に、私が“選ばれる会社”を作った方法
最近、「廃業」という言葉をよく目にします。
特に職人や技術職の世界では、その流れが加速しています。
「若い人が来ない」
「人が育たない」
「もう続けられない」
本当にそうでしょうか。
私は、そうは思っていません。
同じ地域なのに、なぜ結果が真逆になるのか
うちの地域は企業城下町です。
かつては、溶接機一台、旋盤一台で独立できました。
腕があれば仕事がある時代。
しかし今、多くの会社が廃業しています。
その一方で、同じ地域なのに仕事が集中している会社もあります。
環境は同じ。
それでも結果は真逆。
違いは何か。
私は、「技術力」だけではないと思っています。
違いは、選ばれる仕組みを持っているかどうか。
なぜ銀行員が、あえて現場へ来るのか
うちの仕事は、工場の設備保守管理。
いわゆるブルーカラーです。
汚れる。暑い。責任も重い。
決して楽ではありません。
それでも入社してくる人の多くは、ホワイトカラー出身です。
銀行の営業マン。
大手企業の管理部門。
営業職や事務職。
冷暖房の効いたオフィスを離れ、
あえて製造業の世界へ飛び込んできます。
理由はこうです。
「製造業に興味があり、働きたい。」
最初は何も分かりません。
工具の名前も知らない。
冷却塔の仕組みも知らない。
水のことなど、さっぱりです。
それでも育ちます。
なぜか。
教える。
任せる。
失敗させる。
この仕組みを作ったからです。
今では、私が背負っていた顧客の大半を
社員たちが責任をもって受け持ち、
お客様から指名されるまでになりました。
ブルーカラーの価値は、これから上がる
AIが発達すればするほど、
ホワイトカラーの仕事は効率化されていきます。
しかし、現場で機械を触り、
水の状態を読み、異常を感じ取る技術者は簡単には代替できません。
海外では、手に職を持つ技術者が億万長者になる
「ブルーカラービリオネア」という言葉も出てきました。
これは、技術者が高く評価され、高収入を得る象徴です。
これからは、仕事に見合った報酬が得られる時代になる。
ブルーカラーの価値は、むしろ上がる。
「人がいない」のではない。
育てる覚悟があるかどうか。
選ばれる会社になれているかどうか。
それだけの違いだと私は思っています。
赤字受注の時代があった
しかし、私自身も迷走していた時期がありました。
もともとは産業機械を扱う機械商社。
浅く広く扱い、常に相見積り。
受注したければ価格を限界まで下げる。
ときには赤字でも受ける。
売上がゼロの月もある。
この状態では、人を雇い続けることはできません。
成長しなければ、毎年の賃金アップもできません。
企業が成長しなければ、人は守れない。
この現実が、私を変えました。
冷却塔に一極集中する
扱っていた商品の一つが冷却塔でした。
多くの工場へ納めてきた実績がありました。
しかし設置後の保守管理は、
ほとんど提案されていない。
トラブルを抱えたまま使われている現場が多い。
ここに集中しよう。
冷却塔に一極集中する。
「冷却塔といえばセールスエンジ」と言われる会社を目指す。
広げるのではなく、絞る。
中小企業は、一点突破でしか強くなれません。
利益がなければ、人は守れない
水質管理を月額契約に変え、
ストックビジネスへ転換しました。
売上は安定しました。
ここが本質です。
人を雇うには、利益が必要。
成長しなければ、賃金アップもできない。
理念だけでは給料は払えません。
顧客に信頼されるビジネスモデルを作ること。
専門性を高め、指名される会社になること。
その結果として、人が集まる。
理念と仕組みが人を育てる
理念を明確にしました。
冷却塔を安定稼働させることで、工場を守る。
理念を語り続けると、共感した人が集まります。
この指とまれ。
そして仕組みも変えました。
紙の点検表をスマホ入力へ。
訪問は必ず二人以上。
属人化を防ぎ、育つ環境を作る。
理念だけでは人は育たない。
仕組みがあってこそ、人は育つ。
廃業が増える時代に問われているもの
廃業が増えているのは、人手不足だけが原因ではありません。
・専門性
・ビジネスモデル
・理念
・育成の仕組み
・成長する構造
企業が成長しなければ、人は守れない。
成長しなければ、賃金も上げられない。
「人がいない」のではない。
経営が整い、成長し続けていれば、人は集まる。
職人不足の時代に問われているのは、
現場ではなく、経営者の覚悟です。
あなたの会社は、
5年後も選ばれる仕組みを持っていますか。

