Vol.11「錆びとスライムの繁殖でチラー装置の流量が低下」 化学洗浄で流量回復!
チラー(冷却水循環装置)の水量が低下するトラブルについて、改善事例をご紹介いたします。
お客様からの相談内容
チラー(冷却水循環装置)で冷却水が詰まって流れないので困っており、流量を改善して欲しいとのご相談をいただきました。
現場の状況
水槽付きユニットタイプのチラー冷却水循環装置をご使用されていました。チラーは、冷却塔(クーリングタワー)とくらべ水温が安定しますので、水温調節が重要な設備でよく使われています。設備稼働から10年間、一度も冷却水の入れ替えを行われておらず、チラーに内蔵された水槽や配管内は、錆で真っ赤の状態です。冷却水が循環するタンク中は、ヌルヌルしており雑菌が繁殖していました。
流量計や配管の狭い部分は詰まっており、冷却水が少ししか流れない状態でした。
トラブルの原因
流量が低下している原因は、錆びとスライムの繁殖が詰まっているようでした。チラー冷却水の場合は、濃縮しないためカルシウムなどのスケール障害は起こりません。錆びの原因は、水に含まれる溶存酸素(水に溶けた状態の酸素)によるものです。金属は、水と酸素が存在すると腐食を起こします。完全に密閉されていれば酸素は供給されませんので腐食はしないのですが、タンクなどで水面が酸素に触れる状態だと水に溶け込みます。すると、金属が腐食を起こします。水の入れ替えをされていないため、雑菌が繁殖したことで配管を詰まらせている原因となっていました。
トラブル改善のご提案
チラーの冷水系統を洗浄する際は、化学洗浄液として過酸化水素を使用します。過酸化水素の水溶液は、消毒液のオキシドールです。過酸化水素を投入すると水と酸素に分解され、酸素の殺菌効果で雑菌を洗浄します。発泡する際に錆びを浮かせ錆を除去します。
洗浄液を投入すると、冷却水と反応して酸素が発生し泡立ち始めました。このまま、1時間ほどチラーユニットのポンプを循環させました。
最後は、過酸化水素分解酵素剤を投入し、残った過酸化水素を反応させ水と酸素に分解し無害化します。
汚れた水を排水し、タンクや配管内をキレイな水と入れ替え洗浄作業は終了です。廃液については、SS(懸濁物質)が水質汚濁防止法の問題になりますので、産業廃棄物として処理しました。
洗浄後は、錆びやスライムは除去され、流量も回復しました。腐食防止のため防食剤を添加し防食対策をおこない洗浄作業は終了しました。
※食品製造用水および飲料用水でご使用の配管については対応いたしておりませんのでご了承ください。
お客様の声
「チラーの水量が下がっていて、温度異常が発生すると生産が止まるので困っていたが、流量が回復しチラーが正常に作動するようになり急なトラブルが改善できました。急な依頼にもかかわらず対応いただきありがとうござました」
スケール洗浄の対象機器
以下の機器類については、スケール化学洗浄が可能です。
- プレート式熱交換器
- シェル&チューブ熱交換器
- 凝縮器(コンデンサー)
- 吸収式冷温水機
- ターボ冷凍機
- ブライン冷凍機
- 水冷式コンプレッサ内部の熱交換器類(インタークーラー、アフタークーラーなどの部分洗浄)
- 水冷式チラー凝縮器(コンデンサー)
- 水冷式油圧オイルクーラー
- 水冷式真空ポンプ
- 水冷式ブロワー
- その他水循環冷却機器
スケール洗浄のご案内
スケール化学洗浄では、カルシウムやマグネシウム、シリカに加えて鉄サビも溶解します。そのため、腐食が進行している場合、水漏れのリスクがあり、洗浄ができないことがあります。また、化学洗浄液が腐食を引き起こす材質が使用されている場合も、破損のリスクが伴い、洗浄が不可能な場合があります。
私たちのプロが現場を確認し、適切な判断をいたします。どうぞお気軽にセールスエンジまでご相談ください。
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