こんにちは、「冷却塔トラブル改善プロ」の杉山です。
ボイラで起きる蒸気ドレン配管の腐食トラブルについて、改善事例をご紹介いたします。
お客様からの相談内容
ボイラの蒸気系統で設備や配管が腐食して、工場の至る所で蒸気漏れが起きるため生産に支障をきたしており困っています。ボイラには薬剤を入れているのに腐食する原因がわからないので、蒸気配管の腐食を改善して欲しいとのご相談をいただきました。
現場の状況
ご相談を受けた工場様は、規模も大きく工場内には蒸気配管が延々と張り巡らされていました。配管のドレン水(復水)を排出するスチームトラップが設置されたドレンピットは、サビで真っ赤に染まっている状態でした。
蒸気配管の内側は、腐食し配管にはピンホールが空いて蒸気が漏れている個所もありました。スチームトラップも故障が多く蒸気が漏れるため、頻繁に交換をされていました。
ボイラには、水処理薬剤(清缶剤)が添加され、定期的にボイラ水の水質分析をおこない管理が行われていました。
トラブルの原因
ボイラ蒸気の腐食の原因は、ボイラ水に溶けている溶存酸素(水の中に溶けている酸素)と、蒸気に含まれる炭酸ガス(二酸化炭素)が、蒸気配管に溜まるドレン水(復水)に溶け込むことでpH(ペーハー)が低下し酸性化すると腐食が起こります。
ボイラに水処理薬剤(清缶剤)を添加していても、薬剤の種類によっては蒸気系統の腐食を防止する効果がない薬剤もあります。
ボイラ缶水は、スケールと腐食を防止するための薬剤を添加します。ボイラ缶水に使用する薬剤が一般的には清缶剤と呼ばれます。清缶剤は、主にボイラを守るための薬剤になりますので、蒸気ドレン水(復水)の腐食には別の薬剤が必要になります。
水質分析も定期的におこなわれていましたが、ボイラ缶水のみを分析されていた為、蒸気ドレン水の水質分析をおこなわれていませんでした。そのため、蒸気系統でドレン水のpHが低下し酸性化していることが見過ごされていました。
YouTubeでもボイラ蒸気が腐食する原因について解説していますので、ご視聴ください。
トラブル改善のご提案
まずは、ボイラ缶水と蒸気ドレン水を採水し、水質分析をおこない現状の水質を把握することから始めました。給水の水質やボイラの使用状況から、最適な水処理薬剤の選定を行いました。
ボイラ薬剤には、大きく分けて、ボイラ本体を守る清缶剤と、蒸気系統を守る復水処理剤があります。これまで使用されていた水処理薬剤は、ボイラ本体のスケールと缶内の腐食を防ぐ効果だけの清缶剤が添加されていました。そこで、清缶剤に加え復水処理剤の効果がある複合処理のボイラ薬剤をご提案いたしました。
毎週、ボイラ缶水と蒸気ドレン水を採水し水質分析を行い、分析結果を見ながら薬剤の注入量を調整しました。1ヶ月もすると蒸気配管からは、サビも出ない状態まで改善し腐食のトラブルは改善することができました。
写真は、蒸気配管から採水した、ドレン水(復水)を改善前と改善後です。
(左)改善前の腐食で鉄サビが混入した蒸気ドレン水 (右)改善後の蒸気ドレン水
改善後は、月に一度、ボイラ缶水と蒸気ドレン水(復水)を採水し、分析を行い水質に異常が無いかの点検を行い、水質が安定するように努めています。点検作業が終わると、ボイラ水の点検報告書をメールでお送りしています。
当社が使用している点検表ペーパーレス化システムは、こちらになります→https://densica.com/
お客様の声
「ボイラに薬剤を入れていたので、水質には問題ないと思っていましたが、新しく導入した設備が腐食ですぐにジャケットに穴が開き、配管の老朽化も激しく、何が原因かまったくわからず困っていましたが、原因を特定していただき、腐食が改善できすごく助かりました。その後も、水質管理をしっかりと行っていただいているので、設備トラブルもなく安心してお任せしています」
当社では、ボイラ蒸気のトラブルについて、改善のご提案を行っています。復水処理剤の効果を検証するため、薬注装置のテスト機もご用意しております。テスト機で得た水質データをもとに、社内検討いただくことも可能です。ボイラ復水(ドレン水)で腐食のトラブル改善については、「冷却塔トラブル改善プロ」まで、お気軽にお問い合わせください。
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