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Vol.61 冬に多い冷却塔のトラブル!流量計破損と薬注制御の見直しポイントとは?

こんにちは、今回は「流量計が破損して水が漏れている」とご相談いただいた事例をご紹介します。

このトラブル、実は冬場によく起きる内容なんですが、それ以上に問題なのが薬注制御への影響なんです。今回は、冷却塔の薬注方式の違いとともに、トラブルから得られた学びについてお話ししていきます。

お客様のお困り事

製造工場のお客様から「流量計のメーター部分から水が漏れている」とご相談がありました。

冷却塔の補給水ラインに設置されている流量計の部分から、ポタポタと水が漏れている状態です。

この流量計は、冷却塔の薬注装置と連動しており、補給水の流量に応じたパルス信号を出力して、薬剤を自動注入する仕組みになっています。

つまり、水が流れるたびに「今これだけ水が入ってますよ」と信号を出して、その信号に合わせて薬剤が添加される仕組みです。

このため、流量計が壊れてしまうと、薬注そのものが機能しなくなる可能性があります。

現地で確認すると、流量計のメーター部分が凍結によって破損していました。

寒波の影響で内部に残っていた水が凍り、ガラス製の部品が割れてしまったのです。

この間はやむなく、薬注制御を「タイマー方式」に切り替えて運用することにしました。

タイマー方式と流量比例方式の違い

ここで、冷却塔の薬注制御には主に2つの方法があることを紹介しておきます。

● タイマー方式

一定時間ごとに薬剤を注入する方法で、シンプルな制御方式です。

ただし、補給水の流量が少ないときにも薬剤が添加されるため、濃度が高くなりすぎたり、逆に添加不足になることもあります。

 

● 流量比例方式(パルス信号制御)

補給水の流量を流量計で計測し、その流量に応じてパルス信号を出力し、薬剤注入ポンプを制御する方式です。使用水量に応じた薬剤量をリアルタイムで添加できるため、薬剤濃度の安定性に優れているのが特長です。また、必要な量だけを添加するため薬剤コストの削減にもつながります。

今回のお客様は元々この流量比例方式を採用されていましたが、流量計が破損したことでパルス信号が出なくなり、薬注装置が正常に動作しなくなってしまったという経緯でした。

トラブル改善のご提案

今回の対応としては、以下の3つをご提案・実施いたしました。

流量計の交換

破損したメーター部分を新品に交換し、パルス信号による正確な薬注制御を復旧させました。

凍結防止の対策

屋外設置だったため、保温カバーの設置をご提案しました。これにより、来冬以降の再発防止につなげます。

まとめ

冷却塔の水質管理において、流量計は薬剤添加のコントロールを担う重要な機器です。

特に、パルス信号で薬注ポンプを制御している場合、流量計が故障すると薬剤が正しく添加されなくなり、水質悪化のリスクが高まります。

冬場は凍結による破損リスクが高いため、保温・凍結対策とともに、予備部品の常備や定期点検もおすすめです。

薬注方式の見直しついては、お気軽にご相談ください。現場に合った最適なご提案をさせていただきます。

記事を書いた人

杉山 哲也

株式会社セールスエンジ 代表取締役社長

杉山 哲也

「お客様の『困った』を解決し、日本の製造業を支える!」をモットーに、冷却塔の水質管理やメンテナンスをしています。
このブログでは、冷却塔や水処理に役立つ情報を発信中!
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