Vol.42 「冷却水処理剤が異常に減っている!」原因不明のトラブルを解決
お客様のお困り事
冷却塔(クーリングタワー)の点検中に、水処理薬剤の薬剤タンク残量が異常に減少しているのを発見しました。薬注ポンプの設定値より明らかに多く減っており、タンクからの液漏れも確認できませんでした。このまま稼働を続けると、薬剤の添加量が多すぎて冷却水中での薬剤濃度が高くなり、設備を腐食させる懸念がありました。
トラブルの原因
薬注ポンプのホース先端を計量カップで受けて、吐出の様子を観察しました。すると、先端のサイフォン止めチャッキ弁から薬剤が少しだけにじみ出ていることがわかりました。原因は、サイフォン止めチャッキ弁からの液漏れでした。
薬剤が極端に減る要因
薬剤のタンク残量が極端に減る要因として、以下のことが考えられます。
- 薬注ポンプの設定ミス
薬注ポンプがマニュアル運転の設定になっている場合、点検などで薬注ポンプを作動させた後に自動運転に戻し忘れることがあります。この場合、作動が止まらず液が減り続けてしまいます。マニュアル運転をした場合は、必ず自動運転に戻したかの確認が必要です。 - 薬剤タンクの液漏れ
薬剤タンクを長年使用していると、紫外線による劣化でヒビが入り、冷却水処理剤が漏れることがあります。薬剤タンクは10年程で交換が必要です。 - オーバーフィード現象
ダイヤフラム式の薬注ポンプでは、液の吐出するホース先端が低い位置にある場合、サイフォン現象で液が滴下することがあります。ホース先端に取り付いたサイフォン止めチャッキ弁に不具合ある場合、液の吐出が止まらないことがあります。
トラブル改善のご提案
サイフォン止めチャッキ弁を分解したところ、内部の弁にゴミが詰まっていました。チャッキ弁としての逆止機能が働かず、液漏れしていたため薬剤タンクの残量が減っていました。分解して洗浄を行うことで、液漏れの原因は解消しました。
まとめ
サイフォン止めチャッキ弁の液漏れはわずかな漏れのため、時間をかけて確認しないとわかりません。日常的に薬剤タンクの残量を管理することで、急な減少を早期発見できます。水処理薬剤の過剰注入にもつながりますので、タンク残量のチェックは日頃から行うようにしましょう。