Vol.15「ターボ冷凍機が高圧カットで頻繫に止まる」スケールが原因!充填材交換と水質管理の提案で安定稼働へ!
冷却塔(クーリングタワー)の充填材がスケールで固まってしまったトラブルについて、改善事例をご紹介いたします。
お客様からの相談内容
ターボ冷凍機で高圧カット(高圧圧力異常)が働き、製造に支障をきたすことが多く困っており、冷却水が冷えるようにして欲しいとのご相談をいただきました。
現場の状況
ターボ冷凍機の高圧カット(高圧圧力異常)が頻繁に起きるとのことでした。冷却塔(クーリングタワー)を見ると、ほとんど清掃もされずに使用されており汚れが堆積している状態で、周囲には、水が飛び散り水浸しになっていました。
冷却塔(クーリングタワー)の内部を見ると、充填材はスケールでガチガチに固まって目詰まりしている状態でした。
スケールの成分は炭酸カルシウム
充填材に固着したスケールを採取し、成分の分析を行いました。
成分分析から、カルシウムイオンと炭酸水素イオンが結合した炭酸カルシウムだと判明しました。
冷却水で炭酸カルシウムが析出する条件は、
- 水に含まれる硬度分のカルシウム量が多い
- pH(ペーハー)がアルカリ性である
- 水温が高い
- 酸消費量(pH4.8)(炭酸水素イオン)の濃度が高い
などが、炭酸カルシウムスケールが析出しやすい条件です。
冷却水は、すべての条件に該当するため、スケール障害が起きやすい環境にあります。
YouTubeでも炭酸カルシウムスケールについて解説していますので、ご視聴ください。
トラブルの原因
ターボ冷凍機で起きる高圧カット(高圧圧力異常)とは、冷媒ガスがコンデンサー(凝縮器)で冷やされずガスの圧力が上がると安全のために異常停止することを高圧カットと呼びます。
コンデンサー(凝縮器)には冷却水が流れており冷媒ガスを冷やしています。冷却水の水量低下や、コンデンサー内の配管にスケールが付着したりすると、冷媒ガスが冷えなくなり温度が上がると、ガスが膨張し高圧圧力異常となり高圧カットが働きます。
冷却塔(クーリングタワー)は、水質管理をおこなわれておらず、冷却水が過剰濃縮の状態でした。補給水には、井戸水を使用されておりカルシウムなどの不純物が多く含まれており、スケール障害を起こしやすい水質でした。
YouTubeで井戸水を冷却水として使用するリスクについて解説していますので、ご視聴ください。
冷却塔(クーリングタワー)の充填材が目詰まりしたことで、風の通りが悪くなり冷却水が冷えなくなっていました。
冷却塔の充填材が目詰まりすると、なせ、冷却水が冷えなくなるのか?
冷却塔(クーリングタワー)で冷却水が冷える仕組みについて、YouTubeで詳しく解説しておりますので、ご視聴ください。
トラブル改善のご提案
冷却塔(クーリングタワー)の充填材に付着したスケールは、ガチガチに固まっているため、充填材を新品に更新することをご提案いたしました。
冷却塔の中に入っている、古い充填材を取り外しています。スケールで固まった充填材は、とても重たく作業は大変でした。
冷却塔(クーリングタワー)の中から、充填材をすべて取り外しました。
冷却塔の中には、充填材が驚くほど大量に入っています。古い充填材は、産業廃棄物として処分しました。
冷却塔の下部水槽には、大量の汚泥が堆積していました。
高圧洗浄機を使い、下部水槽に溜まっていた汚れをすべてキレイに洗い流しました。
新品の充填材です。丸形冷却塔の充填材は、長四角の短冊状で送られてきます。これを、丸形の冷却塔に敷き詰めていきます。
冷却塔の中に入り、新品の充填材を組み込んでいきます。
交換後の冷却塔充填材です。
これで、充填材の間を風がよく通り、冷却水が冷えるようになります。
お客様の声
「冷凍機の高圧カットが起きる原因がわかり水質管理の重要性がわかりました。自分たちではスケール予防の方法がわからないので水質管理のご提案までいただきありがとうございます。これで急な高圧カットに振り回されずに済み、設備の安定稼働に繋がります」
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冷却塔(クーリングタワー)のトラブル改善については、「冷却塔トラブル改善プロ」まで、お気軽にお問い合わせください。