Vol.22「チラー装置の高圧異常トラブル」 スケール洗浄で解消!
チラー装置が異常停止するトラブルについて、改善事例をご紹介いたします。
お客様からの相談内容
チラー装置が度々異常停止し生産ができずに困っており、トラブルの原因を改善して欲しいとのご相談をいただきました。
現場の状況
金型の冷却水に使用されている水冷式のチラー装置でした。水冷側は、冷却塔(クーリングタワー)で冷却水を冷やされており、よく冷えている状態です。
チラー装置を動かしてみると冷媒ガスの圧力が高く、すぐに高圧カット(高圧異常)が働きました。冬場は、トラブルも起きずによかったらしく、6月くらいからトラブルが出始めていました。
この状態だと、夏場になると生産ができなくなるため早めの対処が必要でした。
トラブルの原因
チラー装置の冷媒ガス高圧カット(高圧異常)が働く原因は、圧縮機で圧縮された、高温、高圧の冷媒ガスが凝縮器(コンデンサー)で冷却されずに圧力が異常に高圧になった場合、圧力スイッチが働き、圧縮機を停止します。これが、高圧カットが起こる原因です。
凝縮器で冷媒ガスが冷えなくなった原因を調べるため、冷却塔(クーリングタワー)の冷却水を調査すると、高濃縮の状態でブローダウンを行わずに使用されており、過剰濃縮によってスケール障害が起きていました。水にカルシウムやシリカを多く含んだ水質の地域では、スケール障害が起きやすくなります。
チラー装置の凝縮器(コンデンサー)にスケールが付着し冷媒ガスが冷えなくなっている状態でした。
冷却水の配管に取り付けられていた、温度計を取り外すと、感温部に硬くなったスケールが付着していました。薄っすらと付着した状態ですが、これだけでも熱の伝達率がかなり低下します。冷却水が冷えていても、熱が伝わらないため冷媒ガスは冷えません。
トラブル改善のご提案
チラー装置の凝縮器(コンデンサー)を冷えるようにするために、冷却水配管の化学洗浄をご提案しました。
仮設のポンプを冷却水系統の配管に接続し、化学洗浄液を循環させて凝縮器に付着したスケールを洗浄しました。
洗浄後は、凝縮器(コンデンサー)に付着していたカルシウムやシリカなどのスケールが落ちたため、熱交換率が解消されたことで、高圧ガスの圧力は下がり、高圧カット(高圧異常)は起きなくなりました。
スケール洗浄の動画
YouTubeの動画では、チラー装置のコンデンサー(凝縮器)スケール化学洗浄の作業をご覧いただけます。ぜひご視聴ください。
お客様の声
「設備がいつ止まるかひやひやしながら生産をしていたので、夏場でもトラブルが起きなくなり生産活動に専念できています。水だけでなく設備のことにも詳しいので助かっています」
(こちらの事例について、お客様の声はこちらをご覧ください)
スケール洗浄の対象機器
以下の機器類については、スケール化学洗浄が可能です。
- プレート式熱交換器
- シェル&チューブ熱交換器
- 凝縮器(コンデンサー)
- 吸収式冷温水機
- ターボ冷凍機
- ブライン冷凍機
- 水冷式コンプレッサ内部の熱交換器類(インタークーラー、アフタークーラーなどの部分洗浄)
- 水冷式チラー凝縮器(コンデンサー)
- 水冷式油圧オイルクーラー
- 水冷式真空ポンプ
- 水冷式ブロワー
- その他水循環冷却機器
スケール洗浄のご案内
スケール化学洗浄では、カルシウムやマグネシウム、シリカに加えて鉄サビも溶解します。そのため、腐食が進行している場合、水漏れのリスクがあり、洗浄ができないことがあります。また、化学洗浄液が腐食を引き起こす材質が使用されている場合も、破損のリスクが伴い、洗浄が不可能な場合があります。
私たちのプロが現場を確認し、適切な判断をいたします。どうぞお気軽にセールスエンジまでご相談ください。
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