株式会社セールスエンジ

「設備の未来(あした)をささえる」
冷却塔トラブル改善プロ

Vol.43 「導電率の低下はこれが原因!」ブロー装置のトラブルと解決法

お客様のお困り事

当社では、遠方のお客様に対して遠隔で水質管理のサポートを行っています。お客様自身で冷却塔(クーリングタワー)の点検をされていましたが、冷却水管理装置の電気伝導率が設定値よりもかなり低く、原因がわからないとのご相談がありました。

遠隔サポートですが、急なトラブルの際はすぐに訪問するようにしています。

自動ブロー装置

冷却塔(クーリングタワー)のオーバーフロー管から冷却水が排水され、補給水が入り続けていました。水の入れ替わりが多いため、濃縮が上がらず電気伝導率が下がっていました。

原因は、丸形冷却塔(クーリングタワー)に付いている、強制ブロー装置に水が入り続けていたことでした。

強制ブロー装置は過剰濃縮を防ぐために適量を排水するものです。しかし、排水量を調整するカバーが全開になっており、多く排水されていたため濃縮が低い状態でした。

濃縮が上がらない要因

冷却水の濃縮が上がらない要因として、以下の事が考えられます。

  1. ボールタップの故障
    ボールタップから水漏れして給水が止まらない場合、交換が必要です。

  2. 循環ポンプのグランドパッキンからの水漏れ
    グランドパッキンからは軸との焼き付きを防ぐために適量の水を漏れさせる必要があります。しかし、過剰に洩れさせると排水量が増えて、濃縮が上がらない原因となります。水漏れが多い場合は、グランドパッキンの増し締めを行う必要があります。

トラブル改善のご提案

強制ブロー装置のカバーを閉めて、冷却水が入らないようにしました。ブローの制御は冷却水管理装置の自動ブロー機能で排水するため、強制ブロー装置からの排水は必要ありません。お客様にもご説明し、通常の電気伝導率の設定値に改善できました。

まとめ

冷却水の濃縮が上がらず電気伝導率が低いのは、水の入れ替わりが多いことが原因です。日常点検で電気伝導率が上限と下限の範囲内にあるか確認することで、水漏れを早期発見することができ、節水につながります。

記事を書いた人

杉山 哲也

株式会社セールスエンジ 代表取締役社長

杉山 哲也

「お客様の『困った』を解決し、日本製造業の生産性向上に貢献する」を理念に、冷却塔の水質管理やメンテナンスで工場の安定稼働を支える専門家。ブログでは、冷却塔や水処理に関する役立つ情報を発信しています。
冷却塔のトラブルでお困りでしたら、お気軽にご相談ください。

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