定量薬注ポンプ(ダイヤフラム式ポンプ)の構成部品と点検方法を解説
定量薬注ポンプ(ダイヤフラム式ポンプ)の構成について詳しくご説明いたします。点検時に重要視しているポイントもお伝えいたしますので、ぜひご参考にしてください。
ダイヤフラム式薬注ポンプの構造
ダイヤフラム式薬注ポンプは、中央部にある板状のゴムシートが心臓のように脈動し、薬剤タンクから液を吸い上げて吐出する仕組みです。一定間隔で定量吐出するため、冷却塔やボイラなどの水処理薬剤を添加する用途に広く使用されています。
ポンプの下側が吸込側、上側が吐出側になります。
吸込側にはフート弁が、吐出側には逆止弁(サイフォン止めチャッキ弁)が付きます。
ポンプヘッドは4本のボルトで固定されており、これを外すと分解できます。グレーの部分がダイヤフラム弁です。
ダイヤフラム弁は古くなると破損することがあり、その場合は液の吐出ができなくなります。交換する際は、手でつまんで回すことで取り外せます。
ポンプのメーカー名と型式がわかれば部品として購入可能です。
フート弁(フートバルブ)
フート弁は吸込側のホースの先端に取り付けられ、液の逆流を防ぐ役割があります。薬剤を吸い上げるときは弁が開き、薬液が通りますが、注入が止まると弁が閉じて逆流を防ぎます。フート弁がない場合、薬注ポンプが停止するとホース内の薬液が流れ落ち、次の注入時にエア嚙みトラブルが発生することがあります。
フート弁の内部で薬液が固まったり逆止弁が固着すると作動不良が起こります。このような場合は分解して洗浄してください。
逆止弁(サイフォン止めチャッキ弁、チャッキバルブ)
逆止弁は吐出側のホースの先端に取り付けられ、液だれやサイフォン現象を防ぐ役割があります。中にスプリングバネが入っており、ダイヤフラム弁の押し出す圧力で薬液が排出されます。
薬剤注入が止まるとスプリングバネで押さえ込まれ、液の自然吐出を防ぎます。
逆止弁が付いていない場合、ホース内の薬液が流れ落ちて計画以上の注入量になることがあります。ホースの長さや注入頻度によって、薬剤の消耗が増える可能性があります。ダイヤフラム式薬注ポンプでは逆止弁は重要な部品です。
動画で解説
YouTubeの動画では、ダイヤフラム式薬注ポンプの構成部品について解説しています。ぜひご視聴ください。
この動画では、薬注ダイヤフラムポンプの分解整備について解説しています。薬注ポンプから液が吐出しない場合などに、分解する必要がありますので注意点などをご参考にされてください。
まとめ
冷却塔やボイラでは、薬剤の注入量を一定に保つことが重要です。薬剤のコストを抑え、最適な薬剤濃度を管理するためには、薬注ポンプの細かいパーツのメンテナンスが必要です。定期的な点検と適切な管理を心掛けましょう。