環境と安全を考慮した冷却塔の薬剤選定:ヒドラジンからの移行
こんにちは、冷却塔トラブル改善プロ、株式会社セールスエンジの杉山です。今回は、冷却塔(クーリングタワー)の水処理剤に含まれるヒドラジンを別の薬剤に切り替えたいとのご相談をいただいた時お話です。このお客様の工場は、水質汚濁防止法の「特定施設」に該当するため、ヒドラジンの使用を避けたいとのことでした。
ヒドラジンとは?
冷却水処理剤やボイラ清缶剤として使用されるヒドラジンは、水に溶解した水加ヒドラジン(N2H4・H2O)(別名:ヒドラジン一水和物)と呼ばれるものです。極めて毒性が高いため、ヒドラジン一水和物は、「毒物及び劇物取締法」において【劇物】に指定されています。さらに、PRTR法や水質汚濁防止法でも指定物質として定められています。
冷却塔でのヒドラジンの目的
冷却塔(クーリングタワー)でヒドラジンを使用する目的は、スライムコントロール剤として藻の繁殖や細菌・レジオネラ属菌の除菌にあります。毒物であるため、少量の薬品でも微生物には効果的ですが、取り扱いを誤ると人への影響も懸念されます。漏洩事故が起これば、行政処分が下される可能性もあります。そのため、環境問題を考慮して冷却水処理にヒドラジンを使用したくないというのが、現在の世の中の流れです。
ヒドラジン使用の背景
それにもかかわらず、多くの工場でヒドラジン入りの冷却水処理剤が使用されている理由は、単純に代替の薬品を提案してもらえていないことが多いからです。20~30年前から同じ薬品を使っているという話はよく聞かれます。
代替薬品の提案
現在では、ノンヒドラジンタイプなど、環境に配慮した冷却水処理剤が主流となっています。また、冷却水処理剤の注入量が昔のタイプと比べて半分で済む薬品もあります。冷却水薬剤は年々新しい商品が登場しているため、数年ごとに薬剤の品種を見直すことをおすすめいたします。
動画で解説
YouTubeの動画では、ヒドラジン入り薬剤の使用について解説しています。ぜひご視聴ください。
まとめ
冷却塔の水処理においてヒドラジンから環境に優しい代替薬品への切り替えは、工場の安全性と環境保護の観点から重要です。新しい薬剤の導入によって、より効果的かつ持続可能な水質管理が可能となります。定期的な見直しと最新の情報を取り入れることで、工場の安定稼働と環境保護の両立を目指しましょう。