モータが焼ける前に!冷却塔(クーリングタワー)の過電流トラブルの原因と対策
こんにちは、今回は冷却塔(クーリングタワー)のモータが「過電流」になる原因と、その対策についてお話しします。
現場で「モータの電流値が高くなっている」「モータのサーマルがトリップした」…そんなご相談をよく受けます。実はそれ、冷却塔の内部が詰まっているサインかもしれません。
この記事では、過電流の主な原因と対策、さらにモータが焼けた場合の注意点まで、実際の現場の経験をもとにわかりやすく解説していきます。

冷却塔モータが過電流?それ、内部の詰まりが原因かもしれません
冷却塔のモータが定格以上の電流を記録している場合、それは「異常負荷」がかかっている証拠です。
特に多い原因が、冷却塔内部の充填材の目詰まりです。
この充填材は、水と空気を効率よく接触させるための中核部品ですが、長期間清掃されていないと、スケール(水あか)やスライム(生物膜)が蓄積して風の通り道をふさいでしまいます。

風が通らなくなると、モータに負荷がかかる!
風が抜けないとファンが回りにくくなり、モータに大きな負荷がかかります。
その結果、モータは回転を維持しようと必要以上に電流を消費し、過電流状態になります。
このまま放置すると、
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モータが焼損する
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モータのサーマルがトリップする
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ファンやベアリングに連鎖的な損傷が出る
といった、大きな設備トラブルにつながる恐れがあります。
モータが焼けたら…修理できないこともあります!
モータが焼損してしまった場合、注意しなければならないのが古いIE1規格のモータです。
現在は省エネ法の影響でトップランナーモータIE3規格への置き換えが進んでおり、IE1モータの部品が入手困難になっています。メーカーも製造を終了しているため、修理できず、交換が必要になるケースもあります。
さらに厄介なのが、IE3モータにそのまま置き換えようとしても…
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IE3は電流値が高く、既設の制御盤・ブレーカーが対応できない
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電気設備の改造や更新が必要になり、予想以上の費用と工期がかかる
つまり、モータが焼けてから対応するのでは遅いということ。
予防保全こそが最も効率的で、コストを抑える方法です。
トップランナーモータIE3の規制による交換の問題点については、こちらをご覧ください。
モータの異常を感じたら、まず“風の通り道”をチェック!
以下のような兆候がある場合、充填材の目詰まりの可能性が高いです。
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モータの温度が上昇している
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モータのサーマルがトリップしている
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ファンから「重い回転音」がする
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電流が定格を超えている
まずは冷却塔内部の状態を点検し、通風状態を確認してください。
清掃と点検が、設備停止を防ぐ第一歩です
過電流を未然に防ぐためには、定期的な点検と清掃が有効です。スケールやスライムは、時間が経つほど硬くこびりつき、除去が困難になります。早い段階で清掃を行えば、設備の長寿命化とトラブル防止に直結します。
動画で解説
YouTubeの動画では、「冷却塔モータの過電流の原因と対策」について、実際の現場事例を交えて詳しく解説しています。ぜひご視聴ください。
まとめ
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モータの過電流の原因は、冷却塔の充填材の目詰まりが多い
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通風不良によりモータに負荷がかかり、サーマルがトリップ・焼損リスクが高まる
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焼損したモータがIE1型の場合、修理不能で設備一式交換になるリスクも
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モータ異常時はまず、冷却塔内部の風の通りを確認することが重要
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