冷却塔(クーリングタワー)の泡立ちは危険信号です
放置すると腐食を進行させる原因と、再発させない考え方
こんにちは、株式会社セールスエンジの杉山です。今回は、冷却塔(クーリングタワー)で発生する「泡立ちトラブル」についてお話しします。
- 冷却塔の水槽から泡があふれ出している
- 風にあおられて、泡が周囲に飛散している
- 初めて見た人が「何か大きなトラブルが起きているのでは?」と心配する
このような状態、現場では決して珍しくありません。
そして私は、この泡立ちを軽い現象だとは考えていません。
なぜなら、泡立ちは、冷却水の中で何らかの異常な反応が起きているサインであることが多いからです。

冷却塔の泡立ちは「明らかな異常」です
冷却塔の泡立ちは、見た目にもはっきりと分かる異常な状態です。
- 泡が水槽の外まであふれ出す
- 周囲を濡らし、床や設備が泡だらけになる
- 通行人や他部署の人から指摘される
この段階まで進むと、「何かおかしい」と誰が見ても感じるレベルです。
ここで大切なのは、泡を消すことではありません。
「なぜ、ここまで泡が出る状態になったのか」を考えることが、再発を防ぐ第一歩になります。
冷却塔が泡立つ主な原因
現場でよく見られる原因は、大きく次の4つです。
① 冷却水の濃縮が進んでいる
冷却水が濃くなりすぎると、水の性質が変わり、泡が立ちやすくなります。
ただし注意したいのは、数値が基準内でも泡が出ることがあるという点です。
「導電率は問題ない」
それでも泡が出ているなら、
水の状態が通常とは違ってきている可能性を疑う必要があります。
② 水処理薬剤の入れすぎ・偏った投入
泡立ちで非常に多いのが、水処理薬剤が過剰に入っているケースです。
- トラブルが怖くて、少し多めに入れている
- 効きを良くしようとして量を増やした
- 現場判断で追加投入している
この状態では、冷却水中で薬剤濃度が一時的に高くなり、泡が発生しやすくなります。
ここで多くの現場が「泡が出たから消泡剤を入れる」という対応をされますが、注意が必要です。
泡だけを消して放置すると、薬剤の影響でpHが低下した状態が続いていることがあります。
pHが低い状態が続くと、
- 配管内部
- 熱交換器
- ポンプや金属部品
で、腐食が静かに進行します。
泡は消えているので解決したように見えますが、
実際には設備を傷める環境が続いているケースも少なくありません。
③ 配管や系内に残った雑菌と薬剤の反応による泡立ち
冷却塔の泡立ちで、非常に多い原因が
配管や系内に残った雑菌(スライム)と水処理薬剤との反応です。
冷却塔本体は清掃していても、
- 配管内部
- 熱交換器
- 水の流れが弱い部分
には、目に見えない**雑菌やスライム(微生物の塊)**が残っていることがあります。
ここに薬剤が入ると、雑菌と反応して泡が一気に発生します。
これは、オキシドール消毒液を傷口につけたときに泡立つ現象と同じです。
オキシドールが泡立つのは、傷口にいる菌と反応しているからで、それとまったく同じことが冷却水の中でも起きていると考えてください。
「冷却塔は洗っているのに泡が止まらない」
という場合、冷却塔以外の場所に雑菌が残っているケースがほとんどです。
冷却塔本体だけを見ていても原因は見えません。配管を含めた系統全体を見ない限り、この泡立ちは何度でも繰り返します。
④ 冷却塔の構造による影響
充填材と水槽の距離が広いなど、水が落下する勢いで泡が立ちやすい構造の冷却塔もあります。
ただし、構造だけで泡が出続けることは少なく、他の要因と重なって起きているケースが大半です。
泡を消すには、消泡剤が効果的ですが
泡を消すための対策としては、消泡剤は非常に効果的です。
冷却塔から泡があふれている状況では、まず泡を抑えることが必要になります。
ただし、消泡剤は泡という現象を一時的に抑えているだけで、泡が発生している原因そのものを解決しているわけではありません。
原因が残ったままだと、
- しばらくすると、また泡があふれる
- 消泡剤の使用量や投入頻度が増える
- 本来確認すべき水質の変化が分かりにくくなる
という悪循環に入りやすくなります。
泡を消すことと、泡が出ない状態をつくることは別の対策です。
再発させないために大切な考え方
冷却塔の泡立ちは、その場しのぎで対処するトラブルではありません。
- 冷却塔だけを見ない
- 配管を含めた系統全体を見る
- 水質の変化を冷静に整理する
この視点を持つことで、泡立ちは「ただの現象」ではなく「改善のヒント」になります。
動画で解説
YouTubeの動画でも解説していますのでご視聴ください。
まとめ
冷却塔の泡立ちは、
- 水質管理のズレ
- 薬剤の使い方
- 雑菌(スライム)との反応
が、目に見える形で現れた明確な異常サインです。
泡を消すことが目的ではなく、「なぜ出たのか」を理解すること。
この意識を持つだけで、冷却塔トラブルは確実に減らせます。
ご一読くださりありがとうございました。
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