Vol.68 冷却塔から異音がする原因は?ファン軸受ユニットとプーリー交換で見るべきポイント
こんにちは、冷却塔トラブル改善プロ、株式会社セールスエンジの杉山です。
今回は、冷却塔(クーリングタワー)から異音がするというご相談をいただき、点検から部品交換まで対応した事例についてお話しします。
冷却塔の異音は、放っておくとモーターの過電流やファンの停止につながることがあります。特に夏場など、冷却塔が止まると生産設備に影響が出る現場では、早めの点検が大切です。
冷却塔から異音がする時によくある原因
冷却塔から異音がする場合、よくある原因は主に次のような部品です。

モーターのベアリング異常
モーター内部のベアリングが摩耗すると、回転時に異音が出ることがあります。
最初は小さな音でも、状態が悪くなると回転抵抗が増え、モーターの過電流につながることもあります。

冷却ファン側のベアリング異常
もうひとつ多いのが、冷却ファン側の軸受ベアリングです。
冷却塔は屋外に設置されていることが多く、湿気や雨水、冷却水の飛散などの影響を受けやすい設備です。そのため、軸まわりは年数が経つと劣化しやすくなります。
ベアリングやVベルトなどの消耗品部品は、耐用時間を目安に交換が必要で、異常がある場合は期間に関わらず交換が必要とされています。冷却塔メンテナンス資料でも、ベアリングは「20,000時間または2年間」を目安とした交換部品として紹介されています。

古い冷却塔でも製造番号が分かれば部品供給できる場合があります
今回の冷却塔は、三菱製でした。
冷却塔が古い場合、お客様からよく聞かれるのが、
「もう部品は出ないですよね?」
という相談です。
もちろん、年式や型式によって確認は必要ですが、三菱製の冷却塔は、古い機種でも製造番号が分かれば部品供給が可能な場合があります。
そのため、点検時には冷却塔本体の銘板を確認し、型式や製造番号を控えておくことが大切です。
ベアリング異常を放置するとモーター過電流につながることもあります。
ベアリングの役割は、回転する軸を支えることです。
このベアリングが傷んでくると、軸の回転が重たくなったり、ガタつきが出たりします。
その状態で運転を続けると、モーターに余計な負荷がかかります。
結果として、
- モーターの過電流
- Vベルトの摩耗
- プーリーの摩耗
- ファン停止
- 冷却能力の低下
といったトラブルにつながることもあります。
冷却塔の異音は、単なる「音の問題」ではなく、設備停止の前兆として見る必要があります。
ベアリングだけではなく軸受ユニット交換をおすすめする理由
お客様からは、
「ベアリングだけ交換できませんか?」
とご相談いただくことがあります。
もちろん、構造上はベアリング単体で交換できるケースもあります。
ただ、弊社ではファン側の軸受については、基本的に軸受ユニットとしての交換をおすすめしています。

古い軸受はベアリング以外も傷んでいることが多い
冷却塔の軸受は、長年の運転でベアリングだけではなく、ケースや軸まわりも劣化していることがあります。
実際にプーリーを取り外してみると、軸受ユニット自体がかなり傷んでいることも珍しくありません。
今回も、冷却ファンの軸からプーリーを取り外すと、軸受ユニットはボロボロの状態でした。
このような状態でベアリングだけを交換しても、長く安心して使えるとは限りません。

古い冷却塔はプーリーの取り外しにも注意が必要です
冷却ファンの軸からプーリーを取り外していきます。
新しい設備であればスムーズに外れることもありますが、古い冷却塔の場合はそう簡単にはいきません。
長年使用されたプーリーは、錆びついて軸に固着していることがあります。
無理に外そうとすると、軸を傷めたり、部品を破損させたりする可能性もあります。
そのため、状態を見ながら慎重に取り外していく必要があります。

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新しい軸受ユニットへ交換
古い軸受ユニットを取り外し、新しい軸受ユニットへ交換しました。

軸受ユニットを交換することで、ファン軸の回転が安定し、異音の改善につながります。
ベアリングは、少しづつ悪くなることもありますが、突然破損することもあります。
普段、冷却ファンが回転している状態では内部の細かな状態まで点検するとが難しいため、異音が出てからではなく、計画的に交換することが大切です。

モーター側プーリーも交換しました
今回は、モーター側のプーリーも取り外し、新しいプーリーへ交換しました。
プーリーが摩耗していると、Vバルトが正常にかからず、ベルトの寿命が短くなったり、異音や振動の原因になったりします。
冷却塔の駆動部は、ひとつの部品だけでなく、
- モーター
- モータープーリー
- ファンプーリー
- Vベルト
- ファン軸受ユニット
が連動しています。
そのため、異音の原因を確認する時は、ベアリングだけでなく周辺部品も一緒に見ることが大切です。

プーリー交換後は高さ調整が重要です
プーリーを交換した後は、高さをしっかり調整します。
ここが非常に大事です。
モーター側プーリーとファン側プーリーの高さが合っていないと、Vベルトがまっすぐ回りません。
その結果、
- ベルトが片減りする
- ベルトが外れやすくなる
- 異音が出る
- 振動が大きくなる
- 軸受に余計な負荷がかかる
といった不具合につながります。
部品を交換するだけでなく、交換後の芯出しや高さ調整まできちんと行うことが、冷却塔を安定して運転させるために必要です。

冷却塔のベアリング交換時期の目安
メーカーや使用条件によって違いがありますが、冷却塔のベアリングは、一般的に20,000時間または2年程度が交換目安として紹介されています。冷却塔メーカーのメンテナンス資料でも、ベアリングやVベルトなどの消耗部品は耐用時間を目安に交換し、異常がある場合は目安期間に関わらず直ちに交換する必要があるとされています。
ただし、実際の現場では使用環境によって劣化の早さが変わります。
特に、
- 24時間運転している
- 屋外で雨風の影響を受けやすい
- 湿気が多い
- 冷却水の飛散が多い
- 振動が出ている
- 異音が出始めている
このような場合は、早めの点検と交換を検討した方が安心です。
弊社では、長くても5年程度を目安に定期交換をおすすめしています。

冷却塔の異音は早めの点検が安心です
冷却塔の異音は、最初は小さな音かもしれません。
しかし、そのまま運転を続けると、ベアリング破損やベルト外れ、モーター過電流などにつながることがります。
特に製造工場では、冷却塔が止まると設備全体に影響することもあります。
「少し音がするだけだから大丈夫」
と思わず、早めに点検しておくことが大切です。
まとめ
冷却塔から異音がする場合、原因として多いのはモーターのベアリングや冷却ファン側の軸受ベアリングです。
ベアリングは冷却塔の回転部分を支える大切な部品で、異常が進むとモーター過電流やファン停止につながることがあります。
また、ファン軸受の場合は、ベアリング単体ではなく軸受ユニットとして交換した方が安心なケースもあります。
冷却塔は、普段問題なく動いているように見えても、内部の部品は少しづつ劣化しています。
異音が出たときは、早めに点検することで、大きなトラブルを防ぎやすくなります。
ご一読くださりありがとうございました。
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