株式会社セールスエンジ

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Vol.70 樹脂成型機のクーラント液を10年ぶりに交換|洗浄すると錆と腐食生成物が大量に出てきました

こんにちは、冷却塔トラブル改善プロ、株式会社セールスエンジの杉山です。

今回は、樹脂成型機の冷却水に使用されているクーラント液を、設備導入から約10年ぶりに交換した事例をご紹介します。

今回の設備では、冷却水の温度が約50℃と高いため、自動車にも使われるロングライフクーラント液が使用されていました。

設備を導入してから約10年間、一度も交換されていなかったため、古いクーラント液を抜き、冷却水系統を洗浄しました。

すると、通常運転している時には分からなかった錆や汚れが大量に出てきて、洗浄中にストレーナーが詰まり始めました。

設備が問題なく動いていても、冷却水系統の中では腐食が進んでいることがあります。

今回は、実際の交換作業をもとに、クーラント液を長期間使用することで起きる問題や、定期的な管理の大切さについてご紹介します。

約10年間交換されていなかったクーラント液

今回作業を行ったのは、樹脂成型機の冷却水系統です。

この設備では、冷却水の温度が約50℃まで上がるため、エチレングリコールを主成分としたロングライフクーラント液が使用されていました。

確認すると、設備導入から約10年間が経過していましたが、これまで一度も全量交換されていませんでした。

また、冷却水系統の内部にはヌルヌルした汚れも確認できました。

そこで今回は、古いクーラント液を抜き、系統内部を洗浄したうえで、新しいクーラント液へ入れ替えることにしました。

古いクーラント液を抜いて過酸化水素で系内を洗浄

まず、冷却水系統に残っている古いクーラント液を抜き取ります。

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その後、過酸化水素を使用して系内を洗浄しました。

洗浄を始めてしばらくすると、配管や設備内部に溜まっていたと思われる錆や汚れが少しずつ出てきました。

さらに洗浄を続けると、茶色い錆や堆積物が次々と出てきて、その汚れがストレーナーに集まり、途中から詰まり始めました。

交換前は、ここまで内部が汚れているとは分かりませんでした。

設備も動いていましたし、冷却もできていました。

しかし、実際にクーラント液を抜いて洗浄してみると、冷却水系統の内部では腐食が進んでいたと考えられます。

設備が動いているから、内部も問題ないとは限らないんですね。

新しいクーラント液を投入し使用条件に応じた濃度に調整を行います。

ブライン濃度計でエチレングリコール濃度を確認し終了しました。

ブライン液とクーラント液の違い

ブライン液とクーラント液は、どちらも冷却設備の中を循環して熱を運ぶ液です。

大きな違いは、使われる温度や設備の種類です。

ブライン液は、主にチラーなどの低温設備で使用され、水が凍らないようにする役割があります。また、配管や熱交換器などを腐食から守るための防食剤も配合されています。

一方、車に使用されるロングライフクーラント液は、エンジンのような高温になる場所で使われます。

高温になるほど金属は腐食しやすくなるため、クーラント液には鉄だけでなく、アルミなどの金属を守るための防食機能も重視されています。

今回の樹脂成型機では、冷却水温が約50℃と高いため、ロングライフクーラント液が使用されていました。

どちらも似た液ですが、使用する温度や合わせて使い分けられています。

クーラント液は入っていれば安心ではありません

クーラント液の主な成分は、エチレングリコールです。

ただし、クーラント液はエチレングリコールだけでできているわけではありません。

配管や設備内部の金属を錆や腐食から守るために、防食剤も配合されています。

この防食剤が、冷却水系統の金属を守る役割をしています。

しかし、防食性能は永久に続くわけではありません。

長期間使用しているうちに少しずつ性能が低下していきます。

そのため、、

「クーラント液が入っているから大丈夫」

とは限りません。

今回の設備も、クーラント液は入っていました。

それでも実際に洗浄すると、錆び腐食による汚れが大量に出てきました。

グリコール濃度だけでは分からないことがあります

クーラント液やブライン液の管理では、グリコール濃度を測定することがあります。

グリコール濃度を測ることで、液がどれくらい薄くなっているかを確認できます。

ただし、グリコール濃度が正常だからといって、クーラント液の状態がすべて正常とは限りません。

なぜなら、金属を守るための防食剤がどれくらい残っているかまでは、グリコール濃度だけでは分からないからです。

そのため、クーラント液の状態を確認する時は、

  • pH
  • 鉄
  • 銅
  • 亜鉛
  • アルミ
  • 液の色
  • 濁り
  • 沈殿物
  • 凍結温度

なども確認します。

例えば、循環液の中から鉄が多く検出された場合には、配管や設備内部で腐食が進んでいる可能性があります。

一方で、防食剤そのもの残存量や配合成分まで詳しく確認するには、クーラントメーカーによる分析が必要になる場合があります。

一般的には、そこまで詳しい成分分析を行うケースは多くありません。

だからこそ、グリコール濃度だけではなく、水質、使用年数、設備の状態を合わせて見ることが大切です。

密閉された設備でも水質は変化します

クーラント液やブライン液は、密閉された配管の中を循環していることが多いため、

「密閉されているから汚れない」

と思われることがあります。

しかし、実際にはそうではありません。

長期間使用していると、

  • 金属の腐食
  • 防食剤の劣化
  • 汚れの蓄積
  • 補給水の混入

などが起こることがあります。

しかし、密閉されているため、普段は配管内部の状態を見ることができません。

今回のように、実際に液を抜いて洗浄して初めて、内部の汚れに気づくこともあります。

見えないからこそ、定期的に状態を確認しておくことが大切です。

クーラント液やブライン液は定期的な確認と交換が必要です

クーラント液やブライン液は、一度入れたら永久に使用できるものではありません。

長く使用している設備では、

  • 使用年数
  • グリコール濃度
  • pH
  • 金属成分
  • 液の色や濁り
  • ストレーナーの汚れ

などを定期的に確認しておくことが大切です。

特に、5年、10年と一度も交換していない場合は、一度状態を確認した方が良いと思います。

「まだ冷えれているから大丈夫」

ではなく、

問題なく動いているうちに確認する。

その方が、大きな設備トラブルを防ぎやすくなります。

まとめ

今回、約10年間交換されていなかった樹脂成型機のクーラント液を抜き、冷却水系統を洗浄しました。

すると、通常運転している時には分からなかった錆や汚れが大量に出てきて、ストレーナーが詰まるほどでした。

クーラント液やブライン液には、金属を腐食から守るための防食剤が配合されています。

しかし、その性能は永久に続くわけではありません。

また、グリコール濃度が正常でも、冷却水系統内部で腐食が進んでいることがあります。

特に長期間交換していない設備では、濃度だけを見るのではなく、水質や金属成分、使用年数なども含めて状態を確認することが大切です。

設備は、止まる直前まで普通に動いていることがあります。

だからこそ、問題が起きる前に状態を確認し、必要に応じて交換しておく。

こうした定期的な管理が、設備の安定稼働につながると思っています。

ご一読くださりありがとうございました。

記事を書いた人

杉山 哲也

株式会社セールスエンジ 代表取締役社長

杉山 哲也

「冷えない」「流れない」「詰まる」その時の不安を、すぐに解消できる存在でありたい。工場の安定稼働を陰で支える“縁の下の力持ち”として、冷却塔の管理に取り組んでいます。
このブログでは、専門的な内容をわかりやすく嚙み砕き、設備担当者の方がすぐに活かせるヒントを発信しています。
対応エリア:九州北部(福岡・熊本・佐賀・長崎・大分)

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