株式会社セールスエンジ

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冷却塔トラブル改善プロ

Vol.14「水処理薬品のコストを抑えたい」 設備負荷や水質を見直し水処理薬剤コストダウンを実現!

冷却水で使用する水処理薬品のコストダウンについて、改善事例をご紹介いたします。

お客様からの相談内容

冷却塔(クーリングタワー)の水処理薬品にコストが掛かっているため、コストダウンしたいとのご相談をいただきました。

現場の状況

冷却水のスケール障害を防ぐ水処理薬剤を使用されており、薬剤の濃度も水質管理がきちんとされていました。しかし、お客様の事情もありコストダウンしたいとの事でした。

水処理薬品を使用する目的とは

水処理薬品を冷却塔(クーリングタワー)の冷却水に入れる目的は以下の通りです。

  1. スケール防止
    カルシウム、マグネシウム、シリカなど水に含まれる成分が固形化するスケールを防止します。
  2. 除菌効果
    藻や細菌、レジオネラ属菌などの繁殖を抑え、スライム障害を防ぎます。
  3. 腐食防止
    冷却水の配管や設備の腐食を防止します。

これらを「水の3大障害」とよび、設備トラブルにつながるため、水処理薬品を添加し水質改善を行うことが目的です。

 

コストダウンの注意点

冷却塔(クーリングタワー)の水処理薬剤をコストダウンする方法は、いくつかあります。すべてを適正することで、大幅なコストダウンにつながることもあります。

ただし、限界まで削減されている場合は、コストダウンにつながらない事もあります。

また、コストダウンをやり過ぎると、スケール障害などのリスクが増しますので、コストダウンはくれぐれも慎重に行う必要があります。

 

水処理剤の注入量を変えるコスト削減方法

水処理薬剤の投入量を変えることでコストを削減する事ができます。

冷却水の水処理薬品は、メーカーや薬品の種類によって冷却水中での濃度基準値が決められており、投入量が少なく基準値を下回るとスケール防止効果が効かなく、多すぎると腐食などを引き起こします。そのため、冷却水の水処理薬剤の注入量は、しっかりと水質管理する必要があります。

水処理薬剤の注入量は、冷却水の蒸発量にあわせて薬注ポンプの流量で調整します。冷却水の蒸発量は、設備の稼働率や夏と冬の温度によって変化しますので、定期的に水質分析を行い薬剤濃度を調べて基準値にあうように薬注ポンプの注入量を調整します。

よく見かける管理方法として、薬注ポンプの設定値を一年中同じ設定にされている事があります。導入してから一度も設定を変えていないと言われることもあります。

夏と冬では、水の蒸発量が大きく違いますので、薬剤投入量の調整を季節に合わせて行うだけで冬場は大幅なコスト削減につながります。

 

ブロー量の調整でのコスト削減方法

ブローダウンによるブロー量の調整を行うことで、水処理薬剤のコストを削減する事ができます。

ブローダウンの目的は、冷却水の過剰濃縮を防ぐためです。濃縮が高くなると水に含まれる不純物の濃度が高くなりスケール障害や腐食を引き起こす原因となります。そのため、適切な水質を守るためにブローダウンを行います。

下の写真は、ブローダウンを管理する冷却水管理装置です。

冷却水管理装置

冷却水管理装置によって、水の電気伝導率を測定し、設定した上限値に達すると自動で補給水ラインのブロー弁が開き新しい水と入れ替わります。新しい水が入ることで電気伝導率の値が下がり下限値に達するとブロー弁が閉まります。この動作を繰り返しながら、電気伝導率の値を一定に保ちます。

電気伝導率の上限値の値は、水に含まれる不純物の量によって決められています。原水に含まれるカルシウムやマグネシウム、シリカなどの量が、冷却水が濃縮した場合にどれくらいの値まで上昇するのかを予測して、電気伝導率の上限値を決定します。

例えば、冷却塔に補給される原水が、電気伝導率15mS/mで水に含まれるシリカの値が50mg/Lの場合、水処理薬剤が入った冷却水中では、シリカの値が高温の設備では上限が150mg/L、空調系の設備で250mg/Lと決められているとします。

シリカの値150mg/L÷50mg/L=3となり、この数字を濃縮倍数と呼びます。この濃縮倍率を原水の電気伝導率15mS/mに3倍を掛けた数字の45mS/mが電気伝導率の上限値です。

この45mS/mよりも低い数値でブローを行われていると、その分、水の入替を多く行うため薬剤をムダに消費している事になります。

電気伝導率を濃縮の上限値まで上げて水質管理をおこなうことで、薬剤コストが削減できます。

 

薬剤の品種を変えるコスト削減方法

冷却水処理剤には、様々な品種があり、年々性能がいい薬品が開発されています。

昔から何十年と同じ水処理薬剤を使い続けている場合、当時は水中での薬剤濃度が300mg/Lだとしたら、新しいタイプの水処理薬剤では150mg/Lで済む薬剤などもあります。

水質を再調査し、現在の新しいタイプの水処理薬剤に変えるだけで、使用量の削減できコストダウンにつながります。

 

コストダウンの効果

ブローの管理などは、きっちりと水質管理を行われていたため、水処理薬剤の品種を1液タイプの複合処理薬剤から、2液の水処理薬剤を注入する方法をご提案しました。

1液の複合処理薬剤は、スケール、スライム、防食とすべてに効果がある成分が配合された薬剤です。メリットは、薬注ポンプやタンクが1つで済むため管理に手間が掛かりません。デメリットは、すべての効果を維持するために薬注量が多くなる点です。

1液の複合処理薬剤を200mg/L濃度で使用されていましたので、2液に分けて薬注する方法で防食防スケール剤の100mg/L濃度で使用できる薬剤に変更しました。除菌剤は、次亜塩素酸を使いスライム対策を行いました。

冷却水処理剤は、徹底した水質管理と適切な薬剤濃度を維持することで、薬剤コストの削減ができます。あわせて水の使用量も削減できます。

薬剤単価のコストダウンを検討するよりも、薬剤の使用量を減らす方が大きなコストダウンにつながります。水質管理をきちんと行うことで、コストダウンが可能となります。

ご注意)

弊社では、他社様の水処理薬剤をご使用のお客様に、薬剤単価を値下げすることでのコストダウンのご提案は行っておりませんのでご了承ください。

お客様の声

「設備の稼働率が落ちていて、ランニングコストの削減が必要で困っていました。設備の稼働が下がっても冷却水は止めれないので薬剤のコストがネックになっていました。使用量が下がりコストダウンができ助かりました」

当社では、冷却水のコストダウンについて、改善のご提案を行っています。薬剤コスト削減の効果を検証するため、薬注装置のテスト機もご用意しております。テスト機で得た水質データをもとに、社内検討いただくことも可能です。冷却塔(クーリングタワー)のトラブル改善については、「冷却塔トラブル改善プロ」まで、お気軽にお問い合わせください。