冷却塔(クーリングタワー)水処理薬剤のバッチ投入とは
今回は、冷却塔(クーリングタワー)の水質管理における薬品投入方法について、自動注入とバッチ投入について詳しく説明します。
自動注入とバッチ投入の違い
冷却塔の冷却水へ薬品を注入する方法として、主に2つの方法があります。一つは薬注ポンプを使用した自動注入で、もう一つは計量カップで量を測り、定期的に薬剤を投入するバッチ投入です。
自動注入
自動注入は、ダイヤフラム式薬注ポンプを使用して冷却水中に薬剤を点滴のように継続的に注入する方法です。この方法により、冷却水中の薬剤濃度を一定に保ち、スライム(雑菌や藻)やレジオネラ属菌の繁殖を抑制します。この水処理剤をスライムコントロール剤、業界用語ではスラコン剤と呼びます。
バッチ投入
バッチ投入とは、一括して薬剤を投入する方法です。バッチとは「一括」や「一度に」という意味を持ちます。この方法は、菌が活発に繁殖し自動注入だけでは抑制しきれなくなったときに用いられます。バッチ投入する薬品は、自動注入と同じような成分ですが、水に入れる濃度が異なります。冷却水に高濃度で一括投入することで、スライムやレジオネラ属菌を短時間で殺菌します。
バッチ投入のタイミングと方法
バッチ投入は、菌が増殖したタイミングで定期的に行います。また、冷却塔を清掃した際には、水を入れ替えるためにバッチ投入が必要です。清掃後は薬注ポンプで薬剤を入れても濃度が上がるまで数日かかるため、その間は菌の繁殖が起こる可能性があります。したがって、清掃後は必ずバッチ投入を行ってください。
適切な薬剤量の計算
バッチで薬剤を入れる際の量は、冷却塔が保有する冷却水の量から計算します。薬剤が少ないと水で薄まり効果がなく、多すぎると濃度が高くなり設備を腐食させるリスクがあります。適切な量を投入することが重要です。
動画で解説
YouTubeの動画では、バッチ投入について詳しく解説しています。ぜひご視聴ください。
まとめ
冷却塔の水質管理には、自動注入とバッチ投入を併用することが効果的です。自動注入で日常的に薬剤濃度を維持し、バッチ投入で短期間に高濃度の薬剤を一括投入して菌の繁殖を防ぎます。適切な薬剤量を守り、定期的なバッチ投入を行うことで、設備の安定稼働を支えることができます。