コンプレッサー冷却の基礎:空冷式と水冷式の違いと水質管理が重要な理由
こんにちは、今回は工場で使用されるコンプレッサーの冷却方式と水質管理の重要性について解説します。
特に、真夏のオーバーヒート防止に欠かせない「水冷式コンプレッサー」と冷却塔の水質管理、さらにオイルクーラー(熱交換器)・インタークーラー・アフタークーラーの冷却不足で起きるトラブルについても詳しくお伝えします。

コンプレッサーの冷却方式
空冷式の特徴
- ファンで外気を取り込み、圧縮熱を放熱
- 設置が簡単でメンテナンスもしやすい
- ただし、真夏など外気温が高いと冷却が追いつかずオーバーヒートしやすい
水冷式の特徴
- 冷却水を循環させ、効率的に熱を吸収・放熱
- 潤滑油や圧縮空気の温度も安定して管理できる
- 夏場でも安定して運転が可能
- ただし、冷却水の水質管理が不十分だとトラブルの原因になる
水冷式コンプレッサーに搭載されるクーラーの役割
水冷式コンプレッサーには、次のような熱交換器が使われています。
- オイルクーラー:潤滑油を冷却し、焼き付きや油膜切れを防止
- インタークーラー(多段圧縮用):1段目で圧縮した空気を冷却し、2段目以降に送り込む温度を下げることで、次の圧縮段数の負荷を軽減し、効率を向上
- アフタークーラー(最終圧縮後):吐出空気を冷却し、配管やドライヤーに適した状態に整える
つまり、インタークーラーは「途中」、アフタークーラーは「最後」に働く冷却器です。

冷却不足が引き起こすトラブル
オイルクーラーの冷却不足
- 油温上昇 → 潤滑不足 → ベアリング摩耗や焼き付き
- 高温によるシール劣化 → オイル漏れ
インタークーラーの冷却不足
- 圧縮空気の温度が下がらず、次段圧縮の負担が増大
- 圧縮効率低下により電力消費が増加
- 腐食による水漏れが起きると、圧縮空気に水が混入するリスク
アフタークーラーの冷却不足
- 吐出空気が十分に冷えず、水分が残ったまま配管へ流入
- ドライヤーに過剰な負荷がかかる
- 配管や機器に錆・腐食・水分混入による品質不良が発生
水質管理を怠るとどうなる?
- スケール付着:カルシウム等が析出し、クーラー内部にこびりつき冷却性能低下
- スライムや藻の繁殖:流路が詰まり、流量不足や過負荷運転に直結
- 腐食:冷却水が酸性化すると配管や熱交換器にピンホールが生じ、漏水や停止の原因
予防保全としての水質管理
冷却水の水質管理は、トラブルが起きてから対処するのではなく、未然に防ぐための予防保全が重要です。
- 定期的な水質チェックで異常を早期に発見
- 薬剤処理で腐食やスケール、スライムを防止
- ブロー排水で不純物の蓄積を防ぐ
- 清掃と記録で長期的な安定稼働を実現
こうした取り組みを続けることで、冷却塔(クーリングタワー)やコンプレッサーを長持ちさせ、安定した設備運用につながります。
動画で解説
YouTubeの動画では、空冷式と水冷式コンプレッサーの特徴や、冷却水の水質管理方法について詳しく解説しています。ぜひご視聴ください。
まとめ
コンプレッサーの冷却方式には空冷式と水冷式がありますが、特に水冷式では水質管理が設備の寿命や安定稼働を左右します。
対応型の修理ではなく、予防保全として水質管理を実施することで、トラブルを未然に防ぎ、工場全体の安定稼働に大きく貢献します。
セールスエンジでは、冷却塔や冷却水系統の診断から改善まで幅広く対応しています。設備の安定運転や長寿命化にご興味があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
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