株式会社セールスエンジ

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冷却塔トラブル改善プロ

Vol.05「チラー装置で腐食とスライム障害」 水質管理でトラブル改善!

チラー装置で起きる腐食とスライム障害のトラブルについて、改善事例をご紹介いたします。
 

お客様からの相談内容

チラー配管のストレーナにサビや異物が詰まって、流量が低下するので改善できないかとご相談をいただきました。

流量計
 

チラー(循環冷却装置)とは

チラー(循環水冷却装置)とは、チラーに内蔵された熱交換器で冷媒ガスを使い、水を冷やし冷水を作る装置です。水が流れる冷水回路では、腐食やスライム(雑菌)障害が起きるとストレーナや熱交換器などが詰まって水が流れなくなるトラブルが起こります。

 

チラー装置の冷水回路について

チラー装置の冷水回路には、主に2パータンあります。チラー装置に水槽を内蔵した「水槽内蔵型チラー」と、冷水タンクやピットなど水槽の水をチラー装置で冷やす「水槽別置型チラー」があります。

 

水槽が内蔵されたチラー冷水回路

水槽が内蔵されたチラー回路は、冷水ラインが密閉式の回路になります。空気と接触する部分が少ないため、空気中の微生物や雑菌などが入り込みにくい構造になります。

チラー装置冷水回路

水槽が別のチラー冷水回路

水槽別置形チラーは、冷水ラインが大気に開放された回路になります。冷水タンクやピットに溜まった冷水の水面が大気に触れるため、空気中の微生物や雑菌が入り込みやすい構造になります。

チラー冷水で起きる主なトラブル

  • 腐食障害
    水の含まれる溶存酸素の影響で、鉄や銅などの金属が腐食します。また、水の含まれる塩化物イオンや硫酸イオンなどが影響するとさらに腐食が助長されます。チラー装置には、熱交換器が入っています。冷水の水質によって熱交換器が腐食によって破損することがあります。
  • スライム障害
    空気中には様々な微生物や雑菌が存在しています。水と空気が触れ合う部分があれば、そこから冷水に入り繁殖します。微生物や雑菌が繁殖すると冷水回路に取付けられたストレーナが詰まったり、熱交換器の表面で繁殖すると冷水が冷えなくなったりします。

水処理薬剤によるトラブル改善

  • 腐食障害のトラブル改善
    腐食障害に対しては、金属のサビを防止するために防食剤を添加します。防食剤の成分によって金属の表面を保護して腐食から守ります。チラー装置の冷水は、水の入れ替わりが少ないため、一度、防食剤を添加すると効果が持続します。
  • スライム障害のトラブル改善
    スライム障害に対しては、スライムコントロール剤(除菌剤)を添加します。微生物の活動を抑え、ストレーナの金網や熱交換器での繁殖を抑制します。

チラー冷水の水質管理

チラー装置の冷水系で水処理薬剤を使用する場合、冷水中での薬剤濃度を定期的に水質分析する必要があります。薬剤濃度が低下すると効果が出なくなり、添加する濃度が高すぎると、逆に薬剤の影響で腐食が起こったりします。定期的に水の分析を行ない適正な薬剤濃度を維持する必要があります。

チラー冷水の水質管理について、YouTubeで解説しておりますので、ご視聴ください。

 

まとめ

チラー装置は、水の腐食やスライム障害によって水温異常などのトラブルが起こります。そのため、適切な水質管理を行う必要があります。冷水の水質が安定することで、チラー装置のトラブルが減少します。

当社では、チラー装置冷水のトラブルについて、改善のご提案を行っています。水処理薬剤の効果を検証するため、薬注装置のテスト機もご用意しております。テスト機で得た水質データをもとに、社内検討いただくことも可能です。チラー装置のトラブル改善については、「冷却塔トラブル改善プロ」まで、お気軽にお問い合わせください。

※食品製造用水および飲料用水でご使用のチラーについては対応いたしておりませんのでご了承ください。

記事を書いた人

杉山 哲也

株式会社セールスエンジ 代表取締役社長

杉山 哲也

「お客様の『困った』を解決し、日本製造業の生産性向上に貢献する」を理念に、冷却塔の水質管理やメンテナンスで工場の安定稼働を支える専門家。ブログでは、冷却塔や水処理に関する役立つ情報を発信しています。
冷却塔のトラブルでお困りでしたら、お気軽にご相談ください。

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