Vol.04「電解式スケール除去装置でもスケール障害が起きる」 九州の水質は厄介?プロの水質管理でトラブル改善!
電解式スケール除去装置を設置しているのにスケール障害が起きるトラブルについて、改善事例をご紹介いたします。
お客様からの相談内容
射出成型機の金型冷却水に電解式スケール除去装置を使用しているのですが、消耗品として電極のコストが高いので水処理薬剤を使用したいとのご相談をいただきました。
現場の状況
冷却塔(クーリングタワー)の冷却水にスケール防止として、電解式スケール除去装置を取り付けられていました。
電解式スケール除去装置とは、冷却水に含まれたカルシウムやマグネシウム、シリカなどのスケールの元となる物質を、冷却水に浸食させた「電極」に付着させ除去する装置です。水処理薬剤を使用しないため、ノンケミカルで環境にやさしい水質改善装置として冷却塔(クーリングタワー)によく設置されています。
電解式スケール除去装置の効果を検証する方法について、YouTubeで解説していますので、ご視聴ください。
電極にスケールが付着していくと効果が徐々に下がってくるので、定期的に付着したスケールを落とすか、電極を消耗品として交換する必要があります。
電極を見るとスケールが付着しているので効果があるように思われていましたが、水質分析をして不純物の量を調べると、カルシウムやマグネシウム、シリカは、ほとんど数値が下がっていませんでした。そのため、金型の水管にスケールが固着し金型の温度が上昇するトラブルを抱えらえていました。
トラブルの原因
電解式スケール除去装置を使用しても効果が出ない原因は、九州ならではの水質にありました。
ご使用されていた地域の水質は、水道水のシリカ濃度が60mg/L以上あり、スケール障害にもっとも注意が必要な水質でした。シリカは、50mg/Lを超えるとスケールがリスクが増すためそれ以下で水質管理をする必要があります。シリカが多く含んだ水質を更に冷却水として循環利用することで濃縮され、シリカが300mg/Lを超える高濃度の状態になっていました。
電解式スケール除去装置は、不純物が少ない水質で使用するには効果があるのかもしれませんが、高濃縮された冷却水では効果がありません。
結果、スケールの成分が除去されず、シリカの濃度が高いまま冷却水を使用されたことで、金型の水管が閉塞するトラブルが起きていました。
トラブル改善のご提案
冷却水のスケール防止用水処理薬剤の効果を見るため、弊社より自動ブロー付き薬注装置のテスト機を6カ月間貸出し、水処理薬剤の効果検証を行いました。
シリカは、濃縮が進むことで水の中で飽和状態となり水に溶けていられる限界を超えるとスケール化します。
そのため、シリカが析出しないよう濃縮を下げるために自動ブロー装置で定期的に水の入れ替えをおこない濃縮が高まらないよう水質改善を行いました。さらに、スケールを防止する水処理薬剤を添加し、シリカの粒子が固着するのを防ぐようにしました。定期的に水質分析をおこない、水を見える化することで安定した水質を保ち、スケールによる金型のトラブルを防止しました。
お客様の声
「電解式スケール除去装置は、電極に付着したスケールを見ると効果があるように感じていましたが、実際に水質分析し数値を見るとスケール障害を防ぐほどは効果がないことがわかりました」
「テスト機によって水処理薬剤の効果を実感したことで、安心して水質管理を導入できました」
「水質管理をお願いしたことで、自分たちで装置を管理する手間がはぶけ、冷却水系のトラブルが減少したことで生産活動に注力できるため助かっています」
当社では、冷却水のスケールトラブルについて、改善のご提案を行っています。スケール防止薬剤の効果を検証するため、薬注装置のテスト機もご用意しております。テスト機で得た水質データをもとに、社内検討いただくことも可能です。冷却塔(クーリングタワー)のトラブル改善については、「冷却塔トラブル改善プロ」まで、お気軽にお問い合わせください。