株式会社セールスエンジ

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冷却塔トラブル改善プロ

Vol.09「密閉式冷却塔の腐食による銅チューブ水漏れ」 スピード補修でトラブル改善!

密閉式冷却塔(クーリングタワー)の銅チューブ水漏れのトラブルについて、改善事例をご紹介いたします。

お客様からの相談内容

密閉冷却塔の銅チューブにピンホールの穴があいて困っており、水漏れを改善して欲しいとのご相談をいただきました。

現場の状況

焼成炉の冷却塔に、密閉式冷却塔をご使用されていました。

密閉式冷却塔とは、冷却水が通った銅チューブを外部からの散布水によって間接的に冷却している冷却塔(クーリングタワー)のことをいいます。冷却水は、密閉された配管内を循環しているため、外気と触れず、冷却水の濃縮もしないことからスケール障害が起こりません。スケール障害でお困りでしたら、密閉式冷却塔はトラブル防止におススメです。

密閉式冷却塔で使用されている銅チューブは、肉厚が0.5mm程度しかありません。肉厚が厚いと熱が伝わりにくくなるため、冷却効果を高めるため極薄のパイプが使用されています。その為、銅チューブが腐食した場合、配管にピンホールの穴が開き、水漏れのトラブルが発生します。

写真は、銅チューブにピンホールが開き、水が噴き出している状態です。

密閉式冷却塔銅チューブ

YouTubeで実際の銅チューブから水漏れしている動画をご視聴いただけます。

https://youtube.com/shorts/1mI8YYkTHP0?feature=share

密閉式冷却塔(クーリングタワー)は、5年~10年で程度で水漏れが起こります。水処理薬剤を使用している場合でも、水が掛かりにくい箇所などでは腐食が起こります。

YouTubeでも密閉式冷却塔の銅チューブ水漏れについて解説していますので、ご視聴ください。

銅チューブからの水漏れ確認方法

密閉式冷却塔の銅チューブは、充填材の中にあるため、水が噴き出していても目視ではわかりずらい状態です。

確認の方法として、密閉式冷却塔の膨張タンクを見れば水が漏れているかどうかがわかります。膨張タンクのボールタップから、水が給水されていると密閉配管のどこからか水漏れしている可能性があります。

水漏れ箇所を特定する方法は、冷却塔の下部水槽の水を抜いて放置していると、水が垂れてきます。その個所を上の方へとたどっていけば、銅チューブの破損個所を特定することができます。

トラブルの原因

銅チューブは、薄いため腐食によってピンホールが開きます。銅チューブ内の冷却水は、濃縮しないためスケール障害は起きませんが、腐食障害が起こります。金属は、水に含まれる溶存酸素の影響で腐食が起きるため、水質管理を行わないと腐食は防ぐことができません。

密閉系統の冷却水には、防食剤を添加し銅チューブの内部から腐食を防止する対策が必要です。また、銅チューブを外部から冷やす散布水は、スケール障害や腐食が起こりますので、水処理薬剤の添加による水質管理が必要になります。

トラブル改善のご提案

破損した銅チューブの交換は、部分的に取り外して交換するには、充填材を取り外し銅チューブすべてを取り外す必要があります。そのため、手間とコストが掛かりますので、新品交換はおススメできません。

そこでおススメなのが、ピンホール部分の銅チューブを盲キャップで塞ぐ方法です。

作業手順を解説します。

まずは、何段目の銅チューブが漏れているのかを特定します。下から何段目なのかといった具合に数えていきます。

密閉冷却塔銅チューブ

銅チューブが接続されたマニホールド管から、袋ナットを緩めて銅管を外します。

密閉冷却塔銅配管水漏れ

袋ナットを取り外した配管に、盲キャップをはめます。サイズ的にはPT3/4がよく使われています。

※実際に行う際には、ネジのサイズをご確認ください。

密閉冷却塔マニホールド

冷却塔の内部と外部に銅チューブの入口と出口がありますので、2カ所を盲キャップで塞ぎます。

密閉冷却塔銅配管水漏れ

使用しなくなった銅チューブは、そのままにしておきます。銅チューブで充填材を受けているため、支えが無くなると充填材が落ちてきます。

密閉式冷却塔の水質管理

密閉式冷却塔は水質管理が必要であり、特に水処理と防食対策が重要です。密閉式冷却塔の利点として、濃縮現象が少ないことが挙げられますが、代わりに腐食の問題が起こる可能性があります。冷却塔(クーリングタワー)の散布水もスケール障害が発生しやすいため水質管理が必要です。日常的な保守点検が大切で、適切な水処理薬剤の使用と濃度管理が腐食とスケール障害の予防に役立ちます。

よくあるご質問

密閉式冷却水の水質管理はなぜ重要ですか?

密閉式冷却水の水質管理は重要です。なぜなら、密閉式冷却水は水が循環するため、水の濃度が上昇する濃縮現象は起こりませんが、代わりに腐食が問題となります。水中の酸素が金属を腐食させる可能性があるため、水質管理が必要です。また、冷却塔の散水水も水質管理が必要で、開放式と密閉式では管理方法が異なります。腐食は進行が遅いため、定期的な保守点検が重要です。

密閉式冷却水での水の濃縮現象はどのように異なりますか?

密閉式冷却水では水の濃縮現象は起きません。密閉された配管内を水が循環するだけで、外気との接触がないため濃度が上昇しないのが異なる点で。

密閉式冷却水と開放式冷却水での水処理薬剤の違いは何ですか?

密閉式冷却水と開放式冷却水では、水処理薬剤の違いがあります。密閉式ではスケール防止が重要で、腐食を防ぐための薬剤を追加します。一方、開放式ではスケールの問題があり、水処理薬剤はそれを防ぐために必要です。水質の管理方法が異なるため 薬剤の種類や使い方も異なります。

腐食が冷却水システムに与える影響はどのようですか?

腐食が冷却水システムに与える影響、金属部品の損傷や破損を引き起こす可能性があります。これは水中の酸素が金属を腐食させ、設備の劣化や水漏れのリスクを増加させることがあります。密閉式冷却塔では多くの銅配管を使用しているため、したがって、腐食を防ぐための水質管理が重要です。

動画について

YouTubeでは、密閉式冷却塔(クーリングタワー)の水質管理について詳しく解説していますので、ご視聴ください。

お客様の声

「銅チューブから水漏れしていても、冷却塔の運転には支障がなかったのですが、密閉系統に投入している防食剤の濃度が下がるので腐食のリスクを気にしていました。短時間で補修していただきコストもかからず、改善でき助かりました」

当社では、密閉式冷却塔のトラブルについて、改善のご提案を行っています。冷却塔の清掃からメンテナンスまでご提案していおります。冷却塔(クーリングタワー)のトラブル改善については、「冷却塔トラブル改善プロ」まで、お気軽にお問い合わせください

記事を書いた人

杉山 哲也

株式会社セールスエンジ 代表取締役社長

杉山 哲也

「お客様の『困った』を解決し、日本製造業の生産性向上に貢献する」を理念に、冷却塔の水質管理やメンテナンスで工場の安定稼働を支える専門家。ブログでは、冷却塔や水処理に関する役立つ情報を発信しています。
冷却塔のトラブルでお困りでしたら、お気軽にご相談ください。

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