Vol.02「雑菌の繫殖によるチラー装置の低温異常」 水質管理でトラブル改善!
チラー冷却装置の低温異常が発生するトラブルについて、改善事例をご紹介いたします。
お客様からの相談内容
チラー冷却装置の冷水が流れなくなり、頻繁に低温異常のエラーが発生し停止するため改善できないかとご相談をいただきました。
現場の状況
チラー冷却装置で冷水の水温管理をされています。チラー冷却装置の低温異常が多発するため、トラブル防止として、年に3回、チラー内部と冷水ピットを過酸化水素を使い薬液洗浄を実施されていましたが、1~2ヵ月すると、冷水配管に設置されたストレーナーが頻繁に目詰まりするため、1日に2~3回、ストレーナーの清掃を行われていました。チラー冷却装置が停止すると、冷水の温度が安定せず、製品に不具合がでるため品質管理で問題を抱えられていました。
トラブルの原因
ストレーナの目詰まりで冷水が流れなくなると、チラー内で凍結が起き水冷却器が凍結破損するため、水温が下がりすぎを防ぐために低温異常でチラーが停止する構造になっています。
目詰まりの原因となる金網に付着していたものを、採取し成分分析を行いました。分析データにより、付着物の大半が有機物であることが判明し雑菌が繁殖していることが判りました。
実際に、現場の冷水中で雑菌がどれくらい繁殖しているかを調べるために、以下の写真の塩ビプレートを冷水に、数日間浸食させて繁殖状況を調査しました。プレートの表面に細菌が繁殖するため、どのくらい繁殖しているかが目で見てわかります。
循環している冷水に、大気中などから雑菌が混入し、冷水中で大量繁殖しストレーナの金網を目詰まりさせていることが特定できました。
ストレーナー目詰まりのトラブル改善
チラー冷水に除菌剤を添加し、雑菌の繁殖を抑えることをご提案しました。
初めに、薬剤の効果を検証するため、冷水をサンプリングし数種類の薬剤を添加し、効果の高い薬剤を選定しました。次に、現場で薬注装置のテスト機を使い、実際に薬剤を添加しテスト検証を行いました。
水処理薬剤を冷水ピットに添加しています。
水処理薬剤は、注入する量や添加時間などを調整しながら、6ヶ月間ほど水質分析や細菌検査などを定期的におこない、改善データの収集を行いました。
トラブル改善のご提案
雑菌の繁殖は、薬剤を添加するとすぐに抑制され、ストレーナの目詰まりは週に1度汚れを清掃すれば良い程度に改善されました。
その後は、薬注装置を設置し、数日おきに水処理薬剤の添加を行っています。
水質管理を導入後は、月に一度、お客様を定期訪問し冷却塔や水質管理装置に異常が無いか点検を行っています。冷却水は、毎月、水質分析を行い、分析結果をもとに水質に異常が無いかしっかりとチェックし最適な水質状態を保つようにしています。
点検作業が終わると、冷却塔点検報告書をメールでお送りしています。
当社が使用している点検表ペーパーレス化システムは、こちらになります→https://densica.com/
お客様の声
「現在は、チラー冷却装置のトラブルもなくなり設備は安定稼働しており、ストレーナの清掃にかかる手間がはぶけて非常に助かっています」
「水の水質分析で「見える化」できたことで、水の使用量削減などにも繋がりコスト軽減にもつながっています」
(こちらの事例について、お客様の声はこちらをご覧ください)
当社では、チラー冷水のトラブルについて、改善のご提案を行っています。雑菌に対する薬剤の効果を検証するため、薬注装置のテスト機もご用意しております。テスト機で得た水質データをもとに、社内検討いただくことも可能です。冷却塔(クーリングタワー)のトラブル改善については、「冷却塔トラブル改善プロ」まで、お気軽にお問い合わせください。
※食品製造用水および飲料用水でご使用のチラーについては対応いたしておりませんのでご了承ください。