株式会社セールスエンジ

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冷却塔トラブル改善プロ

Vol.19「冷却水が高温すぎて充填材が破損」 トラブル原因の改善へ!

冷却塔(クーリングタワー)の充填材が熱で破損するトラブルについて、改善事例をご紹介いたします。

お客様からの相談内容

冷却塔(クーリングタワー)の充填材が熱で破損してしまい困っており、充填材を交換して欲しいとのご相談をいただきました。

現場の状況

冷却塔の充填材を確認すると、変形して曲がっています。スケールの重みに耐えきれずに、つぶれてきているのかと思いながら点検をしていました。

冷却塔充填材高温仕様

焼成炉で冷却塔を使用されており、冷却塔の中は白煙が立ち上る状態で、水温を測定すると50℃を超えていました。

冷却塔充填材

熱で充填材が変形して、崩れ落ちています。充填材は、薄い塩ビでできているため、高い温度には耐えられません。

冷却塔充填材高温水仕様

トラブルの原因

冷却塔(クーリングタワー)の充填材が変形したのは、冷却水の水温が高く充填材の耐熱温度を超えたことが原因です。

冷却塔の充填材には、耐熱温度があります。一般的な冷却塔の充填材は、使用温度が45℃以下となっています。45℃を超える水温が冷却塔に入る場合は、高温水仕様の冷却塔を選定する必要があります。

ご使用されていた冷却塔は、耐熱温度が75℃仕様のものでしたが、充填材が変形した状態を見るとかなりの高温水が入ってきた可能性がありました。

冷却水が高温になる原因

冷却水が高温になる原因として考えらえるのが、冷却塔(クーリングタワー)の散水不良です。

冷却塔の上に登って上部散水槽を確認をすると、散水するために開けられた穴が、藻やスケール屑などで目詰まりしていました。

冷却塔上部散水槽

下記の写真は、上部散水槽がきれいな状態です。この散水槽の穴が目詰まりすると水を散水できなくなり、冷却水が冷えなくなります。

冷却塔上部散水槽

焼成炉の炉内温度は、数千℃にもなります。炉のジャケットも冷やさなければ、かなり高温になります。

冷却水が冷えない状態で循環を繰り返していると、水温は上がり続けます。充填材の耐熱温度75℃を超えた冷却水が循環していた可能性がありました。

水温が上がるトラブルを引き起こした上部散水槽の目詰まりは、水質管理に原因があります。

冷却水の水質管理を行われておらず、藻の繁殖やスケール障害によって、上部散水槽が目詰まりし、冷却水が冷えなくなったことで、トラブルが起きています。

トラブル改善のご提案

冷却塔(クーリングタワー)の製造番号を調べて、同じ高温水75℃仕様の充填材に新品と交換するようにしました。冷却塔から、古い充填材を取り外しました。スケールが付着しており、かなり重たくなっていました。

冷却塔充填材

新品の充填材です。高温水仕様は、標準仕様(45℃タイプ)と比べ材質と厚みが違います。

冷却塔充填材

冷却塔の充填材は、組み方を間違えると冷却水の流れが変わるので、元の通りに組み込んでいきます。

冷却塔充填材高温水仕様

きれいに充填材を組み込むことができました。ギュギュウに詰め込んでありますので、最後の一列を押し込むのにかなりコツがいります。

冷却塔充填材高温水仕様

充填材の廃棄方法

古い冷却塔や充填材を処分する際には、産業廃棄物として適切に処理する必要があります。主な材料は、塩化ビニール製(PVC)のため専門業者へご相談ください。

動画について

冷却塔の充填材交換時期や、高温水仕様の充填材について、動画で解説していますのでご視聴ください。

冷却塔の高温水仕様について、YouTubeでも解説しておりますので、ご視聴ください。

お問合せ

また、当社では冷却塔の充填材交換やメンテナンス、目詰まりした充填材の清掃など、冷却塔に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

【問い合わせ先情報】

株式会社セールスエンジ【冷却塔トラブル改善プロ】
〒864-0004 熊本県荒尾市宮内1004番地
TEL:0968-79-7177

記事を書いた人

杉山 哲也

株式会社セールスエンジ 代表取締役社長

杉山 哲也

「お客様の『困った』を解決し、日本製造業の生産性向上に貢献する」を理念に、冷却塔の水質管理やメンテナンスで工場の安定稼働を支える専門家。ブログでは、冷却塔や水処理に関する役立つ情報を発信しています。
冷却塔のトラブルでお困りでしたら、お気軽にご相談ください。

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