株式会社セールスエンジ

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冷却塔トラブル改善プロ

効率的な冷却塔運用の鍵!自動ブロー装置の正しい設定方法とは?

こんにちは、冷却塔トラブル改善のプロ、株式会社セールスエンジの杉山です。今日は冷却塔に設置されている自動ブロー装置の数値設定について、順を追って詳しく説明します。

自動ブロー装置の数値設定の手順

1. 水質分析の実施

まず、現場の元水(冷却塔に給水されている水)の水質を分析します。これにより、現在の水質を把握することができます。具体的には、全硬度やシリカ濃度、電気伝導率などの数値を測定します。

2. 全硬度の確認と設定

次に、元水の全硬度(カルシウムとマグネシウムの合計値)を確認します。

  •  例: 元水の全硬度が100mg/Lであった場合、冷却水の管理基準を600mg/Lに設定します。
  • これは6倍濃縮の設定です。

3. シリカ濃度の確認と設定

次に、元水のシリカ濃度を確認します。

  •  例: 元水に30mg/Lのシリカが含まれている場合、冷却水の管理基準を150mg/Lに設定します。
  • これは5倍濃縮の設定です。

4. 濃縮上限の設定

全硬度とシリカ濃度の両方を確認した後、低い方の濃縮倍数を設定の基準とします。

  • 例: シリカの濃縮が5倍であれば、それを上限として設定します。

5. 電気伝導率の設定

元水の電気伝導率を測定し、それに基づいて設定します。

  • 例: 元水の電気伝導率が15μS/cmであれば、5倍に濃縮すると75μS/cmになります。この値を自動ブロー装置の設定値にします。

6. 設定の確認

設定が正確であることを確認します。具体的には、以下の点に注意します。

  • 設定が低すぎると薬剤の使用量が増加します。
  • 設定が高すぎるとカルシウムやシリカのスケール障害が発生します。

7. 運用と監視

設定が完了したら、冷却塔の運用を開始し、定期的に水質を監視します。水質が適切に維持されているかを確認し、必要に応じて設定を調整します。

動画で解説

YouTubeの動画では、自動ブロー装置の設定について詳しく解説しています。ぜひご視聴ください。

まとめ

冷却塔(クーリングタワー)の水質管理は、適切な濃縮倍数を設定することが重要です。元水の分析結果に基づき、全硬度やシリカ濃度、電気伝導率を考慮して自動ブロー装置の設定を行います。これにより、効率的な冷却塔運用が可能となります。

セールスエンジでは、日々の現場での経験から、お客様の水質に合わせた最適な管理を提供しています。地域ごとに異なる水質に対応するためにも、元水の調査と適切な設定が重要です。水質でお困りの方は、ぜひご連絡ください。ご一読くださり、ありがとうございました。

記事を書いた人

杉山 哲也

株式会社セールスエンジ 代表取締役社長

杉山 哲也

「お客様の『困った』を解決し、日本製造業の生産性向上に貢献する」を理念に、冷却塔の水質管理やメンテナンスで工場の安定稼働を支える専門家。ブログでは、冷却塔や水処理に関する役立つ情報を発信しています。
冷却塔のトラブルでお困りでしたら、お気軽にご相談ください。

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