株式会社セールスエンジ

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冷却塔トラブル改善プロ

冷却水ブロー水の再利用について

こんにちは、冷却塔トラブル改善プロ、株式会社セールスエンジの杉山です。日々の業務の中でお客様から多くのご質問をいただいておりますが、今日はその中でも特に関心の高い「冷却水ブロー水の再利用」についてお話ししたいと思います。

冷却水ブロー水の再利用の可能性

「冷却水ブローの水は、再利用できないのでしょうか?」というご質問をいただきました。「ブロー水を再利用できれば、冷却水に入れた水処理薬剤の使用量も削減できるのですが・・・」といった声が多く寄せられます。

冷却水の濃縮とブローダウンの必要性

冷却水は、冷却塔(クーリングタワー)で水を蒸発させながら循環を繰り返しているうちに、水に含まれる成分や空気中の不純物の濃度が徐々に濃くなっていきます。これを水の濃縮と呼びます。過度に濃縮するとカルシウムやマグネシウム、シリカなどがスケールとして析出します。そのため、スケールを防止する水処理薬剤を投入しますが、濃縮には限度があり、一定の濃度に達したらブローダウンを行い、新しい水と入れ替える必要があります。

ブローダウン後の薬剤コスト

ブローダウンが行われた後は薬剤の濃度が下がるため、再度薬剤を追加投入しなければなりません。これにより薬剤コストがかかります。

ブロー水の排水量

冷却塔が1日にどれくらいのブロー水を排水しているかご存知でしょうか?以下は一例です。

  • 開放式角型冷却塔:200冷凍トン
  • 温度条件:入口温度37℃、出口温度32℃、外気湿球温度27℃
  • 循環水量:150m³/h
  • 運転負荷率:30%
  • 濃縮倍数:約4倍

この規模の冷却塔では、ブロー水の量は1時間で0.36m³排水されます。1日で0.36m³ × 24時間 = 8.64m³(補給水量ではありません)。これだけの量を毎日排水として捨てているのです。

ブロー水の再利用方法とコスト

ブロー水を再利用できれば薬剤コストの削減につながりますが、過剰濃縮となった水はそのままでは使えません。再利用するには、イオン交換樹脂やフィルターで水をきれいにする必要があります。しかし、この方法では水を入れ替えるよりも余計にコストがかかるため、ほとんどの場合は排水として捨てられます。

まとめ

環境のことを考えると、将来的にはブロー水の再利用が求められるかもしれません。しかし、現時点では再利用のためのコストが高いため、多くの現場では排水として処理されています。持続可能な水質管理を目指すためにも、今後の技術進歩に期待したいところです。

記事を書いた人

杉山 哲也

株式会社セールスエンジ 代表取締役社長

杉山 哲也

「お客様の『困った』を解決し、日本製造業の生産性向上に貢献する」を理念に、冷却塔の水質管理やメンテナンスで工場の安定稼働を支える専門家。ブログでは、冷却塔や水処理に関する役立つ情報を発信しています。
冷却塔のトラブルでお困りでしたら、お気軽にご相談ください。

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