冷却塔(クーリングタワー)の省エネ・Co2削減方法
こんにちは、冷却塔トラブル改善プロ、株式会社セールスエンジの杉山です。今回は、「冷却塔(クーリングタワー)を効率的に運用して省エネ・Co2削減を実現する方法」をご紹介します。冷却塔は製造業の現場において欠かせない設備ですが、その運用次第で大きなエネルギー削減が可能です。特に、冷却塔の仕組みや水質管理について詳しく知らない方には、ぜひ読んでいただきたい内容となっています。
冷却塔の基本構造と運転原理
まず、冷却塔の仕組みを簡単に説明します。
冷却塔は、熱交換を行うために冷却水を循環させる装置で、モーターで冷却ファンを回して冷却水に風を当て熱を逃がす構造です。
効率的運用のポイント
- 冷却ファンを常時回すのではなく、必要なタイミングで運転を制御することで無駄なエネルギー消費を抑えます。
- 適切な運転制御は、エネルギー削減だけでなく、CO2削減にも寄与します。
冷却塔の仕組みについて、詳しくはこちらをご覧ください。
冷却塔の熱交換効率低下を調べる方法
冷却塔(クーリングタワー)の性能が低下しているかどうかを判断するために、水温測定は非常に有効な方法です。以下に、具体的な手順を説明します。
水温の測定方法
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入口水温の測定
冷却塔の上部散水槽の水温(入口水温)を測定します。 -
出口水温の測定
冷却塔の下部水槽の水温(出口水温)を測定します。 -
冷却塔銘板の基準と比較
冷却塔には通常、設計条件として入口水温・出口水温・外気湿球温度などが記載されています。これを実際の測定値と比較します。
具体的な測定例
たとえば、以下の条件が冷却塔の銘板に記載されているとします。
- 入口水温: 37℃
- 出口水温: 32℃
- 外気湿球温度: 27℃
この条件下では、冷却塔の正常な性能であれば水温が5℃低下する設計となっています。
実際の測定結果からの判断
仮に実際の測定で、出口水温が34℃だった場合、温度差は3℃となり、設計上の5℃と比較して冷却能力が低下していることがわかります。
冷却効率低下による影響
冷却能力が低下していると、以下のような問題が発生します。
- エネルギー消費の増加
必要以上に冷却ファンを稼働させることで、電力消費が増加します。 - 設備全体の効率低下
冷却能力不足により、冷凍機や圧縮機への負荷が増加します。
冷却塔の性能を適切に管理することで、省エネとCO2削減が実現します。ぜひ、日常的な水温測定を取り入れて、設備の効率をチェックしてみてください。
冷却効率低下の原因と対策
冷却効率低下は、以下の要因で引き起こされる可能性があります:
- スケールの付着:熱交換面が汚れることで効率が低下。
- スライムの発生:微生物による汚れが流れを妨げる。
- 充填材の目詰まり:水流が均一にならず、冷却が不十分。
これらの原因に対しては、定期的な清掃や水質管理の徹底が効果的です。また、必要に応じて冷却塔の部品交換やメンテナンスを行うことで、性能を回復させることが可能です。
冷却塔の充填材が目詰まりするとどうなる?
冷却塔の効率を大きく左右する部品のひとつが「充填材」です。冷却水を均一に流し、効率よく熱交換を行うための重要なパーツですが、汚れや異物が原因で目詰まりを起こすことがあります。
充填材の目詰まりによる主な影響
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冷却効率の低下
冷却水が充填材をスムーズに通らなくなることで、熱交換が不十分になります。その結果、冷凍機や他の設備の稼働時間が増え、エネルギー消費が増加します。 -
水流の不均一化
目詰まりがある部分に冷却水が行き渡らず、均一な冷却ができなくなります。 -
設備全体への悪影響
目詰まりを長期間放置すると、ファンモーターの負荷が増え、電力消費量が増加する原因になります。
解決策
- 定期的な点検と清掃で目詰まりを防止。
- 水質管理を徹底し、汚れやスライム(微生物汚染物)の発生を抑える。
冷却塔清掃サービスについて、詳しくはこちらをご覧ください。
水質管理の重要性:スケールとスライムの除去
冷却塔の効率低下を引き起こすもうひとつの要因が、スケール(カルシウムなどの堆積物)やスライムです。これらが熱交換器に付着すると、冷却効率が大幅に低下します。
対策
- 定期的な清掃と水質改善が効果的です。
- 適切な薬品を使用することで、スケールやスライムの発生を抑制できます。
冷却塔単体の省エネではなく設備全体を見直す
冷却塔の改善だけでなく、冷凍機や圧縮機との連携を考慮することで、さらに大きな省エネ効果が期待できます。たとえば、熱交換器や凝縮器などのスケール障害やスライム障害を改善し、熱効率を上げると、冷凍機のコンプレッサー稼働時間が短縮され、全体のエネルギー消費が減少します。
オンオフ制御で無駄をカット
冷却塔の運転を効率化する手段のひとつが、「オンオフ制御」です。
冷却水温をセンサーで測定し、水温が低いときはファンを停止、水温が上がったら再度運転を開始する仕組みです。これにより、ファンの稼働時間が減り、電力消費の大幅な削減が可能になります。
インバーターでファン回転数を最適化
インバーター制御を利用すると、冷却水温に応じてファンの回転数を調整できます。常にフル出力で運転する必要がなくなり、効率的な運用が可能です。
冷却塔の台数を制御して省エネを実現
大規模なビルや工場では、複数の冷却塔を使用することが一般的です。この場合、すべてを稼働させる必要はなく、運転台数を調整することで効率化が図れます。
台数制御のメリット
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消費電力の削減
必要最小限の台数を稼働させることで、大幅なエネルギー削減が可能です。 -
柔軟な運用
冷却塔の台数が多い施設ほど、細かな調整ができるため、効率的な運用が可能です。 -
他の制御方法との組み合わせ
オンオフ制御やインバーター制御と併用することで、さらに高い省エネ効果が得られます。
導入のポイント
- 温度センサーや自動制御システムを活用。
- 水質管理や定期的なメンテナンスも並行して行うことで、効率的かつ長寿命な運用を実現します。
動画で解説
YouTubeの動画では、「冷却塔の省エネ・Co2削減方法」について詳しく解説しています。ぜひご視聴ください。
まとめ
冷却塔の省エネ・Co2削減は、オンオフ制御やインバーターの活用、水質管理、充填材の目詰まり防止など、さまざまな対策が必要です。特に、日々の点検と適切な運用でトラブルを未然に防ぐことが、省エネの鍵となります。
冷却塔の運用やトラブル解決でお困りの方は、ぜひ私たち株式会社セールスエンジにご相談ください。
ご一読くださりありがとうございました。