Vol.62 【設備が冷えない原因はコレ!】プレート式熱交換器の能力低下と洗浄メンテナンスで解決
こんにちは、今回は「設備の冷却がうまくいかない」という製造工場のお客様からのご相談事例をご紹介します。
冷却塔を使ってプレート式熱交換器経由で設備を冷却していたのですが、水温が高くなってエラー警報が出てしまい、設備が停止してしまうトラブルが発生していました。
この記事では、
- 熱交換器が冷えなくなった原因
- プレート式熱交換器の構造的な弱点
- 当社が行った洗浄メンテナンスの手順
について、わかりやすく解説します。
冷却能力が落ちて設備が止まった!現場の状況
「プレート式熱交換器が冷えていない」とご相談をいただいたのは、とある製造工場のお客様。
冷却塔の冷却水がプレート式熱交換器を通って、設備のジャケット(外周冷却部)を冷やしていたのですが…
- 一次側(設備側)と二次側(冷却塔側)の水温の差がわずかしかない
- 本来ならΔT(デルタT)=5℃あるはずが、実際には1~2℃程度
この状態では、設備側の冷却不十分になり、エラー警報が出て生産がとなってしまします。
プレート式熱交換器の構造と弱点
プレート式熱交換器は、薄い金属プレートを何枚も重ねて、冷却水がその間を流れる構造です。構造がコンパクトで効率が良い反面、プレート表面に汚れやスケールが付着しやすいという弱点があります。
今回も、熱交換器を分解してみると…
- プレート表面にびっしりと汚れ
- 水の流れが悪くなり、熱が伝わりにくい状態
冷却水には水処理薬剤を入れていたものの、冷却塔が外気を吸い込む構図のため、塵や埃が少しずつ熱交換器内に蓄積していたことが原因でした。
当社の改善提案:プレート式熱交換器の持ち帰り洗浄
現場での洗浄も可能ですが、今回は徹底的にきれいにするため、分解・持ち帰り洗浄→再組立てをご提案しました。
①分解
熱交換器を分解し、プレートを1枚ずつ外して持ち帰ります。
②プレートの洗浄
古くなったガスケットを丁寧に剥がす
高圧洗浄機で汚れを落とす
それでも落ちないスケールは、薬品洗浄で除去
③ガスケット張替え
新品のガスケットを張り付けて、密着性と耐久性を回復
④組立・耐圧テスト
テスト用のフレームに仮組し、耐圧テストでピンホールなどの漏れがないか確認
⑤現場で再組立て
洗浄後は、現場へ戻し、熱交換器へ再組立
上下・前後を間違えないように慎重にフレームに組み込みます
まとめ
プレート式熱交換器は、高効率でコンパクトな装置ですが、冷却水の汚れによるスケールやスライムの付着で、性能が一気に落ちてしまうことがあります。
- 冷却能力が落ちる
- ΔTが確保できなくなる
- 設備エラーで停止につながる
こうしたトラブルを防ぐためにも、定期的な洗浄メンテナンスが非常に重要です。
「最近、設備が冷えにくいな…」と感じたら、熱交換器内部が汚れているサインかもしれません。気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
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