Vol.65【チラー装置トラブル】高圧カットで異常停止!原因は凝縮器のスケール汚れ?
こんにちは、今回はチラー装置が「高圧カット」で度々停止し、生産がとまってしまうというトラブル事例をご紹介します。
特に夏場に多いトラブルで、原因を正しく見極めて改善しなければ再発してしまいます。
お客様からの相談内容
近隣の工場様から、こんなお困りごとがありました。
「夏場になるとチラー装置が突然とまってしまい、冷水水温が上昇して生産がストップしてしまう。原因が分からないので調査して欲しい」
冷却が止まると製品が作れなくなりますので、一刻も早い対応が必要な状況でした。
現場の状況
今回のチラーは水冷式。
実際に運転してみると、冷媒ガスの圧力が異常に高くなり、すぐに高圧カット(高圧異常停止)が働いていました。
高圧カットは、圧縮機からでる高温・高圧の冷媒ガスが、凝縮器(コンデンサー)で十分に冷却されず圧力が異常上昇したときに作動します。
つまり、冷媒ガスがうまく冷やせていない=凝縮器の冷却不良が原因です。
トラブルの原因
現場を確認したところ、冷却塔の水質管理が行われておらず、水処理薬剤も未使用でした。
そのため、凝縮器(コンデンサー)内部にスケール(カルシウムやシリカの付着)やスライム(微生物の繁殖)が堆積し、熱交換が妨げられていたと考えられます。
凝縮器が汚れていると、冷媒ガスが冷えずに圧力が上昇し、高圧カットによる停止が繰り返されるのです。

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トラブル改善のご提案
改善方法として、凝縮器のスケール化学洗浄をご提案しました。
仮説ポンプを配管に接続し、化学洗浄液を循環させて内部に付着したスケールを溶解除去。

30分ほど循環させると、洗浄液はカルシウムやシリカと反応して濁り、汚れがどんどん排出されました。

反応が収まったところで内部を確認すると、凝縮器はきれいに復活しました。

スケール洗浄の動画
YouTubeの動画では、チラー装置のコンデンサー(凝縮器)スケール化学洗浄の作業をご覧いただけます。ぜひご視聴ください。
スケール洗浄の対象機器
当社では、以下の機器類についてもスケール化学洗浄に対応しています。
- プレート式熱交換器
- シェル&チューブ熱交換器
- 凝縮器(コンデンサー)
- 吸収式冷温水機
- ターボ冷凍機
- ブライン冷凍機
- 水冷式コンプレッサ内部の熱交換器類(インタークーラー、アフタークーラーなどの部分洗浄)
- 水冷式チラー凝縮器(コンデンサー)
- 水冷式油圧オイルクーラー
- 水冷式真空ポンプ
- 水冷式ブロワー
- その他水循環冷却機器
スケール洗浄を行う際の注意点
スケール化学洗浄は効果的ですが、いくつかの注意点があります。
- 腐食が進行している場合、洗浄により水漏れが発生するリスクあり
- 材質によっては洗浄液が腐食を引き起こす場合あり
そのため、必ず専門の技術者が事前確認を行い、実施可否を判断することが重要です。
まとめ
チラー装置の「高圧カット」は、凝縮器のスケール汚れが原因であることが非常に多いトラブルです。化学洗浄で改善できるケースが多いため、同じような症状でお困りの際は、ぜひご相談ください。
セールスエンジでは、現場を確認のうえ最適な改善方法をご提案いたします。
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