株式会社セールスエンジ

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Vol.66【ドライ真空ポンプの異常停止】冷却水量低下の原因は亜鉛スケールの詰まりだった!

こんにちは、今回はドライ真空ポンプが冷却水の流量低下で異常停止したトラブル事例をご紹介します。

精密機械でよく起きるトラブルのひとつですので、同じような症状でお困りの方はぜひ参考にされてください。

お客様からの相談内容

設備導入から5年が経過し、これまで問題がなかったのに急にトラブルが発生したとのご相談でした。

「ドライ真空ポンプの冷却水が流量低下で突然止まってしまう。エアブローすると汚れが出て一時的に回復するが、またすぐに流量が落ちるので困っている」

生産ラインが止まるため、原因の調査と改善を行うことになりました。

現場の状況

使用されていたのは、水冷式のドライ真空ポンプ

日常的に流量センサーで数値を確認されており、通常5.0L/min以上あった流量が2.7L/minまで低下していました。

明らかに冷却水量が不足している状態です。

冷却水は、密閉式冷却塔(クーリングタワー)を利用されており、水質管理も良好。

そのため、カルシムやシリカなどのスケールによる閉塞ではなさそうでした。

しかし、管内をエアブローすると汚れが出てくる状況。

その付着物を回収・分析したところ「亜鉛(Zn)」が多く検出されました。

トラブルの原因

原因は、配管材に使われていた白ガス管の亜鉛メッキが溶け出したことによるものでした。溶け出した亜鉛が細い冷却水管内に堆積し、詰まりを引き起こしていました。

結果として冷却水が十分に流れず、ドライ真空ポンプの冷却に必要な流量を確保できずに異常停止。

特に、配管が分岐している箇所では流速が遅くなるため、堆積しやすくなります。

分岐が多い冷却水ラインでは注意が必要です。

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トラブル改善のご提案

今回の改善策として、冷却水配管のスケール化学洗浄をご提案しました。

洗浄用の仮説ポンプを接続し、化学洗浄液を循環させて内部に堆積した亜鉛のスケールを溶解除去します。

洗浄液投入後すぐに反応が始まり、循環液が汚れてきました。

約2時間の洗浄後、流量は2.7L/min → 5.2L/minまで回復。

その後は異常停止も発生せず、安定稼働に戻りました。

スケール洗浄の対象機器

当社では、以下の機器類についてもスケール化学洗浄に対応しています。

  • プレート式熱交換器
  • シェル&チューブ熱交換器
  • 凝縮器(コンデンサー)
  • 吸収式冷温水機
  • ターボ冷凍機
  • ブライン冷凍機
  • 水冷式コンプレッサ内部の熱交換器類(インタークーラー、アフタークーラーなどの部分洗浄)
  • 水冷式チラー凝縮器(コンデンサー)
  • 水冷式油圧オイルクーラー
  • 水冷式真空ポンプ
  • 水冷式ブロワー
  • その他水循環冷却機器

スケール洗浄を行う際の注意点

化学洗浄は非常に効果的ですが、以下の点には注意が必要です。

  • 配管や機器が腐食している場合、洗浄により水漏れが発生するリスクあり
  • 材質によっては、洗浄液が腐食を引き起こす場合あり

そのため、必ず専門技術者が事前に確認・判断を行うことが大切です。

まとめ

水冷式のドライ真空ポンプは、冷却水配管が細いため汚れが堆積すると流量低下を起こします。定期的な化学洗浄を行うことで、流量は回復し安定した運転が可能になります。

ただし、付着している成分によって使用する洗浄液が異なるため、専門家による判断が重要です。化学洗浄で改善できるケースが多いおで、同様のトラブルでお困りの際はぜひご相談ください。

セールスエンジでは、現場確認のうえ最適な改善方法をご提案いたします。

記事を書いた人

杉山 哲也

株式会社セールスエンジ 代表取締役社長

杉山 哲也

「冷えない」「流れない」「詰まる」その時の不安を、すぐに解消できる存在でありたい。工場の安定稼働を陰で支える“縁の下の力持ち”として、冷却塔の管理に取り組んでいます。
このブログでは、専門的な内容をわかりやすく嚙み砕き、設備担当者の方がすぐに活かせるヒントを発信しています。
対応エリア:九州北部(福岡・熊本・佐賀・長崎・大分)

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