まとめ
丸形冷却塔(クーリングタワー)では、
スプリンクラーの軸受摩耗による回転不良が、冷却能力低下の直接的な原因になります。
特に、
- 設置から10年以上経過
- 水質管理が不十分
- スプリンクラーの回転確認をしていない
このような設備では、定期点検と部品交換が重要です。清掃とあわせて、「正常に回転しているか」まで確認することが、安定稼働につながります。
丸形冷却塔(クーリングタワー)の清掃を行った際に、各部の点検でスプリンクラー(散水装)の回転が遅いことに気がつきました。
スプリンクラーの回転が遅くなると、冷却水が充填材全体に均一に散水されません。その結果、冷却効率が落ち、「水が冷えない」というトラブルにつながります。
今回の現場では、スプリンクラーを支える回転軸受の摩耗が原因と判断し、お客様へ状況をご説明したうえで部品交換を行いました。
スプリンクラーの散水パイプを支える中央の軸受が摩耗し、シャフトが本来の位置から飛び出している状態でした。
原因を詳しく確認すると、冷却水を過剰濃縮で使用されており、その影響でスケール(水垢)が析出。
このスケールが軸受部に付着・堆積することで、摩耗が進行していました。
軸受が摩耗すると回転抵抗が増え、スプリンクラーがスムーズに回らなくなります。
その結果、散水不良が発生し、冷却能力の低下を招きます。

今回スプリンクラー(散水装置)の交換を行ったのは、日立製の丸形冷却塔です。
設置から約13年が経過しており、部品交換としては適切なタイミングでした。

まず、冷却塔上部の外部カバー(FRP製)を取り外します。

次に、散水パイプと一体になったスプリンクラー本体を取り外します。
長年使用されている場合、スケールや腐食により固着していることも多く、無理な力をかけず慎重に作業します。

スプリンクラーを支えているヘッダー(受け部)を取り外します。
この部分が摩耗していると、スプリンクラーの芯がずれ、回転不良を引き起こします。
機種によっては、スプリンクラーの固定ネジが逆ネジ(左ネジ)になっています。
これは、散水時の回転方向とは逆方向に外れる構造とすることで、運転中に緩まないようにするためです。
通常の感覚で回すと「締まる方向」になるため、事前に構造を理解していないと破損の原因になります。

古いヘッダー受けを撤去後、塩ビ配管に新品のヘッダー受けを取り付けます。
ここでは、
を確認しながら、確実に固定します。この精度が悪いと、新品スプリンクラーでも回転不良を起こします。

新品のスプリンクラーヘッドを取り付けます。回転軸がスムーズに動くかを手回しで確認し、抵抗や引っ掛かりがないことを確認します。

組み付け後、通水を行い、
を確認します。
今回は、回転数も安定し、充填材全体に均一な散水が確認できました。
撤去した部品を確認すると、
がはっきり分かる状態でした。
清掃だけでは見落とされやすいですが、点検時に「回り方」を見ることが非常に重要だと分かる事例です。

