株式会社セールスエンジ

「設備の未来(あした)をささえる」
冷却塔トラブル改善プロ

ボイラの管理で水処理がおろそかになっている

こんにちは、「技術と安心のサプライヤー」セールスエンジの杉山です。

土日で、”ボイラー取扱技能講習”を受けてきました。

水処理の仕事でボイラ蒸気に関わることが増えていまして、改めてボイラについて基礎から勉強してきました。

ボイラは、取り扱いを誤ると”爆発や破裂”などの大事故につながる設備です。そのため消防法・労働安全衛生法などの法律で、製造や設置、運転管理について様々な決まりがあります。

工場の設備で、ここまで法律で縛られている機械ってあまりありません。それだけ、取り扱いを誤ると危険だという事です。

講義を聞きながら、ボイラ事故の恐ろしさに少々ビビり気味。

工場ではボイラ蒸気を様々な用途で使われています。食品の加熱や殺菌、化学工場では加温、ビルでは空調、発電所ではタービンの動力源など。

近年、小規模ボイラで小型多管式貫流ボイラ(最高圧力0.98MPa 伝熱面積10㎡以下)を導入される事が増えており、規模の大きいボイラを設置するのではなく、小型を複数台設置するのが主流となっています。工場内の蒸気使用量にあわせて、ボイラの運転台数を制御することでエネルギーコストの削減に繋がります。生産設備を増設する際も、蒸気の使用量にあわせてボイラの台数を増やせば、最小限の設備投資で済みます。

規模の大きいボイラだと、丸ごと入替が必要になる場合もあるので、導入が進むのは納得です。

この、小型式貫流ボイラは、大型ボイラと違いボイラ技師免許が不要で、ボイラ取扱技能講習を受ければ、取り扱うことができます。24時間稼働の工場では、ボイラ技師の方が付きっ切りで運転管理するといった負担軽減と、管理コスト削減の大きなメリットがあります。大型ボイラと違い、操作はすべて自動化されており、運転は、起動と停止のON・OFFボタンを押すだけです。

無人化されて、とても簡単なのですが・・・

工場の製造現場では、その小型多管式貫流ボイラが普及した事で、様々な問題が起きてます。

ボイラは、たとえ小規模ボイラと言えども取り扱いを間違えれば、ガス爆発や蒸気破裂などで建屋ごと吹っ飛んでしまうような重大事故を引き起こす可能性があります。安全に運転するには、ボイラの構造をよく知る必要があるんですが、これがまた、とても複雑な設備なんです。ボイラ缶体・操作バルブ・安全弁・送風機・燃焼装置(バーナー)・給水装置・薬注装置・自動制御装置などなど・・・多岐にわたる機器で構成されており、ボイラは言い換えれば、蒸気製造プラントです。使用されている機器類は、すべて重要な役割をもち、日常の点検や整備まで専門的な知識が必要です。

長年の経験がなければ、2日間の技能講習程度ですべてを理解する事は不可能です。

素人ではとてもムリです。

これまでは、こうした作業をボイラのスペシャリストであるボイラ技師の方が、すべて行われていました。ですが、小型貫流ボイラに替わると、ボイラ技師が不要となります。ボイラに異常があればメーカーをすぐに呼ぶという流れになっていて、メーカー側が24時間体制でサービス対応されています。

噂によれば、ボイラメーカーのサービスマンは、夜中の呼び出しなどで寝る間も無い状態だと聞きます。

メーカーさんからも、下手にいじって事故に繋がると困るので、一切自分たちで修理しない様に言われるそうです。なのでボイラの事は、すべてボイラメーカーにお任せとなっています。事業所の管理者は、ボイラを扱わなくなってしまった事で、知識と技術を身につける経験ができない状態です。

ボイラの運転管理で、メンテナンス以外に必要な事が”水の管理”です。とくに、小規模ボイラは、保有する水の量が少ないので水の管理がとても重要になります。水もボイラの運転管理同様、専門の知識と経験が必要です。ボイラ取扱技能講習でも水処理の説明はありますが、数時間受講したくらいでは、とても習得できません。普段からボイラメーカーにお任せになってしまっているため、現場では水の管理までもがおろそかになっています。

ボイラの水質管理の目的は、

  1. ボイラ内部のスケール付着
  2. ボイラ及び付帯系統の腐食
  3. キャリーオーバー

などの、給水中の不純物による障害を防ぐ事です。

講習の中で「最近は、軟水装置の取扱い不良によるスケール障害が増加している」と言われていました。

ボイラにとって軟水装置は、スケールを防止する重要な機器です。水を理解しなければ、軟水装置の構造を理解できず良質の給水を行うことができません。水の管理をおこたれば、ボイラの破損やエネルギーロスにつながります。それだけ、日々の水質管理は大切な作業です。

小型貫流ボイラは、ほとんど自動運転ですが、水に関わる付帯設備、軟水装置や薬注装置、ブロー装置などは、水質の変化にあわせて設定が必要です。ボイラメーカーさんは、あくまでボイラの整備がおもな仕事です。日常の水質管理は、ボイラ管理者が行う必要があります。水処理をしっかりと行えば、生産性向上や省エネ、設備やボイラの延命につながります。

水を制する者、ボイラを制する、プロのボイラ取扱管理者を目指す事をお勧めしたいですね。

記事を書いた人

杉山 哲也

株式会社セールスエンジ 代表取締役社長

杉山 哲也

「お客様の『困った』を解決し、日本製造業の生産性向上に貢献する」を理念に、冷却塔の水質管理やメンテナンスで工場の安定稼働を支える専門家。ブログでは、冷却塔や水処理に関する役立つ情報を発信しています。
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