小型貫流ボイラは簡単?いや、水を制する者がボイラを制す!
こんにちは、セールスエンジの杉山です。
今回は、私が受講してきた「ボイラー取扱技能講習」で感じたことや、実際の現場で見えてきた小型ボイラの落とし穴と水処理の重要性についてお話します。
小型ボイラは便利。でも“簡単”ではない
自動化された運転で免許も不要に
最近では、小型多管式貫流ボイラの導入が急増しています。
食品工場、化学プラント、ビル空調など、あらゆる業種で使われており、特に以下の理由で人気があります。
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小型で設置しやすい
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必要な時に必要な分だけ運転できて省エネ
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自動運転でボイラ技師が不要
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ON/OFFボタンだけで簡単操作
一見、手間いらずに見えますが……
知らぬ間に増えている、ボイラトラブル
技師がいなくても運転できる=知識がなくてもよい?
実際の現場では「トラブルが起きたらメーカー任せ」が常態化し、設備担当者がボイラの構造や仕組みを理解する機会がなくなっているのが現状です。
でも、小型でもボイラは危険な設備。
誤った運転や水管理を怠れば、スケール付着・腐食・破損・爆発といった重大事故に発展しかねません。
ボイラで最も大事なのは“水の管理”
水処理を怠れば、ボイラ寿命が縮む
講習でも強調されていましたが、近年増えているトラブルのひとつが「軟水装置の不具合によるスケール障害」。
スケールとは、水中のカルシウムやマグネシウムなどが固まって、配管や缶体の内側にこびりつく現象です。
一度スケールが付着すると…
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熱効率が低下(燃料費アップ)
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配管やボイラ缶の破損
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最悪の場合、蒸気漏れや破裂の危険
こうなる前に、日々の水質チェックと適切な薬注・ブローが重要になります。
小型ボイラでも“水処理”は人の手で行う必要がある
ボイラ本体の運転は自動でも、次のような水処理装置の設定は、現場で調整しなければなりません。
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軟水装置(再生タイミングや硬度チェック)
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薬注装置(薬剤の注入量設定)
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ブロー装置(排水頻度や量)
これらを正しく扱うには、水に関する深い知識と経験が求められます。
まとめ
小型貫流ボイラは確かに便利ですが、水質管理をおろそかにすると、大きなトラブルの原因となります。
「自動だから安心」と思い込み、知識や技術を持たないまま運用を続けるのはとても危険です。
水を理解し、水を制することが、ボイラを長く安全に使う第一歩。
水処理の知識を持った“プロのボイラ管理者”を目指していきましょう。
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