こんにちは、「冷却塔トラブル改善プロ」の杉山です。
冷却塔(クーリングタワー)の薬注装置は、冷却水を最適な状態に保つために水質管理する装置です。ここでは、装置の構成や機能などを、詳しくご説明します。
メーカーによって、冷却水管理装置や自動ブロー装置などと微妙に呼び名が違ったりしますが、基本的な機能は同じです。ちなみに、当社では”冷却水管理システム”と呼んでいます。
冷却水管理装置の機能とは
冷却水管理装置は、冷却塔(クーリングタワー)で循環する冷却水で起こる、スケール障害や藻の繁殖、腐食などのトラブルを防止する装置です。機能としては、冷却水の水質が悪化すると自動で水を入れ替える自動ブロー機能と、冷却水処理薬剤を注入する薬注ポンプと、薬剤を入れる薬品タンクで構成されています。
- 自動ブロー装置
- 薬注ポンプ
- パルス発信式流量計
- 薬剤タンク
- 電動ブローバルブ
こうした機器をユニット化したものが、冷却水管理システム(冷却水管理装置)になります。
自動ブロー装置とは
冷却水管理装置に組み込まれる、自動ブロー装置の仕組みは、こうです。
まずは、水の性質からお話しします。
水は物質を全く含まない純水の状態では、電気を通しません。
不思議でしょう、水は何でも電気を通すと思っていませんでしたか?!
水は色んなものが溶けて、初めて電気が通るようになります。水の不純物が増えるとより電気が通りやすくなるので、導電率(電気伝導度)と言って電気の通りやすさを計測し、水の汚れ具合を数値で判断します。
自動ブロー装置に、あらかじめ上限値と下限値を設定し、導電率が上限値に達すると電動バルブが自動で開き、新しい水を冷却塔(クーリングタワー)に供給します。水が給水されると、冷却塔のピットから溢れオーバーフロー管より排水されます。冷却水がキレイな水に入れ替わると導電率が下がり、下限値に達すると電動バブルが閉じられます。
冷却塔(クーリングタワー)は、水の濃縮によって不純物の濃度が上がると、スケール障害や腐食、雑菌の繁殖が起きるため、定期的に水の入替を行う必要があります。これを、自動ブロー装置で行います。自動ブロー装置は、メーカーによって色んな機種があります。機能としては、どのメーカーもあまり変わりませんが、設定方法が異なります。
写真は、アクアス製の冷却水管理装置マイガードです。
栗田工業製クリオート水処理管理装置です。
イワキ製電導度管理装置です。
薬注ポンプとは
薬注ポンプは、冷却水処理剤を冷却水に添加する機器です。
冷却水処理剤は、水の中で濃度を一定に保つ必要があります。薄すぎても、濃すぎても冷却水処理剤はいけません。冷却塔(クーリングタワー)に補給される水の量に対し、薬剤を添加し、常に薬剤濃度を維持しています。薬注ポンプは、注入量にバラつきがあってはいけません。そのため、定量性があるダイヤフラム式のポンプを使用します。
薬注ポンプの注入方法には、タイマー注入方式と流量比例注入式の2パターンがあります。
- タイマー注入式
時間を設定し、決まった時間に薬剤が入るようにします。例えば、1時間ごとに1分間だけ薬注ポンプが動作するように設定し注入を行います。そのため、薬剤が入ったときは濃度が高くなり、水の入れ替わりなどで徐々に濃度が低下していきます。また、夏と冬では、水の蒸発量が違いますので、季節によってタイマーの設定変更が必要です。 - 流量比例注入式
補給水の量を、パルス発信式流量計で計測し、パルス信号で薬注ポンプを作動させる注入方法です。水が入った分だけしか、薬剤が注入されませんので、薬品のムダがおさえられます。冷却水中での薬剤濃度も一定を保たれますので、当社もお勧めの薬注制御です。
パルス発信式流量計とは
パルス発信式流量計は、補給される水の量を計測してパルス信号を薬注ポンプへと発信します。補給水の量にあわせて、薬注ポンプが作動するため、薬剤注入のバラつきがなく、冷却水中での薬剤濃度が常に一定となります。
薬剤タンクとは
水処理薬品を入れておくタンクです。
薬剤のタンクは、小さすぎると頻繁に薬剤の補充が必要となり、大きすぎると過剰設備になります。そのため、月間の薬剤使用量を計算し、必要量がストックできるタンク容量を選定します。
電動ブローバルブとは
電動バルブは、ブローを自動で行うために使用します。自動ブロー装置からの信号で、開閉を行います。バルブの機種は、電動開閉式のボールバルブです。弊社では、KITZのEA100/200-TE形を使用します。電磁弁を使用される事もありますが、電磁弁は弁を閉じるときに水の勢いでウォーターハンマー現象が起こりますので、配管が破損することがありますので注意が必要です。
ブロー弁の取付位置は、ボールタップの手前で配管を分岐させ取付けます。
冷却水管理装置のまとめ
このような装置により、冷却水管理装置はシステムとして構成されています。現場の冷却塔(クーリングタワー)にあわせて、各機器の選定を行います。各機器が正常に動作するように日々の点検が水質を管理するにはとても重要な作業となります。
Youtubeでも冷却塔の薬注装置について、解説をしています。
当社では、冷却塔(クーリングタワー)のスケール障害・藻の繁殖・腐食などのトラブルについて、改善のご提案を行っています。水処理薬剤の効果を検証するため、薬注装置のテスト機もご用意しております。テスト機で得た水質データをもとに、社内検討いただくことも可能です。冷却塔(クーリングタワー)のトラブル改善については、「冷却塔トラブル改善プロ」まで、お気軽にお問い合わせください。
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