Vol.20「ガス回収プラントのコンデンサーが冷えない」 清掃と水質改善でトラブルゼロに!
ガス回収プラントのコンデンサー(凝縮器)が冷えないトラブルについて、改善事例をご紹介いたします。
写真はイメージです。
お客様からの相談内容
ガス回収プラントのコンデンサーが冷えずに回収率が落ちてるため困っており、コンデンサー(凝縮器)のスケールを改善して欲しいとのご相談をいただきました。
現場の状況
設備の構成、現場で起きていたこと。
化学工場様でガス回収プラントの冷却水系統でスケール障害が起きていました。ガスを冷却して凝縮させるためにコンデンサー(凝縮器)を通すのですが、冷却水側にスケール付いてガスが冷えなくなっていました。
冷却塔(クーリングタワー)は、充填材に塵や埃がの付着がひどく目詰まりしていて風通りが悪い状態になっていました。
冷却塔(クーリングタワー)の中にも汚泥が堆積しており、冷却水出口のストレーナが詰まっていました。
プレート式熱交換器もスケールで頻繁に詰まるため、定期的に分解してプレートを洗浄をされていました。
水処理薬剤を購入し、お客様自身で1週間に一度、薬剤を冷却水に添加されていましたが、スケールに効果が無く設備が停止するなどのトラブルを抱えられ困られていました。コンデンサー(凝縮器)が冷えないことで、ガスを冷やして液体に凝縮して回収する効率が低下し生産効率が下がっていました。
トラブルの原因
スケールの原因は、冷却水の濃縮が原因です。
冷却塔(クーリングタワー)は、水を循環して利用しています。冷却塔は、外気を取り込み、水に風を当て蒸発する際の気化熱によって水温が下がります。これを循環しながら繰り返すことで、冷却水が濃縮していきます。濃縮が高まると、水に含まれる不純物の濃度が高くなり、飽和状態となると熱交換器や配管などにスケールとして付着していきます。
コンデンサー(凝縮器)内にスケールが付着すると、熱が伝わりにくくなり熱伝導率が下がることでガスが冷えなくなります。ガスが冷却されないと液体に戻りませんので回収率が下がるということになります。
冷却水の濃縮については、YouTubeで解説していますので、ご視聴ください。
トラブル改善のご提案
まずは、冷却塔(クーリングタワー)の充填材が目詰まりしている状態でしたので、高圧洗浄機による清掃をご提案いたしました。
付着して物がスケールではなく塵や埃のようでしたので、高圧洗浄機できれいに落とすことができました。これがカルシウムなどがスケール化している場合は、高圧洗浄機では落とせず、充填材を新品に交換しなくてはなりません。
充填材は、定期的に洗浄することで長く使用することができます。
冷却塔の下部水槽も汚泥を洗い流し、きれいに清掃しました。
清掃後は、冷却塔のファンベルトなどを点検し、ベルトのゆるみやVプーリの摩耗が無いかチェックします。
お客様自身が、手投入で薬剤を入れられていた為、薬剤濃度の管理ができずにスケール障害が起きていましたので、新たに自動ブロー付きの薬注装置を設置し自動で水質管理を行えるようにいたしました。
シリカによるスケール障害がトラブルを起こしていましたので、シリカスケールにあった薬剤の選定を行い導入いただきました。
電気伝導率センサーで、冷却水の電気伝導率を測定し、汚れてきたら自動的にブロー弁が開閉し水の入れ替えを行います。過剰濃縮によるスケール障害を防止します。
定期的に水質管理を行うメンテナンス契約をご提案し、月に一度、冷却塔や水質管理装置に異常が無いか点検を行っています。冷却水は、毎月、水質分析を行い、分析結果をもとに水質に異常が無いかしっかりとチェックし最適な水質状態を保つようにしています。
点検作業が終わると、冷却塔点検報告書をメールでお送りしています。
当社が使用している点検表ペーパーレス化システムは、こちらになります→https://densica.com/
お客様の声
「頻繁に温度異常のエラーが鳴り困っていましたが、以前は、薬品だけを購入し自分たちで管理していましたが、水のことは難しくてさっぱりわからないので、水質管理をお任せしてトラブルがほとんどなくなり改善でき助かりました」
当社では、冷却水のスケールトラブルについて、改善のご提案を行っています。スケール防止剤の効果を検証するため、薬注装置のテスト機もご用意しております。テスト機で得た水質データをもとに、社内検討いただくことも可能です。冷却塔(クーリングタワー)のトラブル改善については、「冷却塔トラブル改善プロ」まで、お気軽にお問い合わせください。