株式会社セールスエンジ

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冷却塔トラブル改善プロ

冷却塔の試運転で発生した電流異常の原因と対策

新規納入の冷却塔試運転

先日、新規で納入したお客さんへ冷却塔(クーリングタワー)の試運転に行ってきました。納入から2ヶ月が経ち、プラントの工事が終わり、ようやく試運転が始まりました。すると早速、冷却ファンのモータ電流値が異常に高く、定格電流値を超えていました。モータの定格電流値が「20.0A」に対し、「19.92A」でギリギリの状態です。

アンペアメーター

異常な電流値の原因調査

初めは、ファンを駆動させるVベルトがなじむまでは電流値が高いだろうと思っていました。しかし、数時間たっても一向に電流値が下がらないのです。冷却塔メーカーさんに連絡し、出荷時の工場検査記録を確認しても定格電流値は問題がありませんでした。それにも関わらず、現場に設置して運転すると電流値が高い原因が分かりませんでした。

冷却塔(クーリングタワー)が運転できないと、プラント設備全体の試運転ができません。Vベルトの張力を測定したり、いろいろと調べていたところ、ようやく電流値が高い原因が判明しました。今は11月で外気温が20℃でした。さらに、冷却水は17℃と冷えた状態です。工場で検査したときは、8月の外気温が32℃の時です。空気は温度が低いほど比重が重たいため、ファンには負荷がかかり電流値が上がります。

試運転だったので、冷却水の水温が低い状態でしかファンを回すことができず、原因が分かりませんでした。しかし、冷却塔(クーリングタワー)は温かい水を空気で冷やす機械です。温かい水が通ると、充填材で熱交換した際に吸い込んだ外気は熱をもらい、ファンが吐出する空気(=蒸気)の温度は上がります。空気は温かいほど比重が軽いので、ファンへの負荷も下がりモータの電流値は低下します。この原理を考えると納得でき、試運転は無事に終了しました。

冷却塔のワンポイントアドバイス

真冬で水温が低い状態のときは、空気の比重が重たいので、冷却塔のファンを回しっぱなしにしているとモータが過負荷で焼けることもあります。水温を検知してファンをON/OFF制御させることをおススメします。