株式会社セールスエンジ

「設備の未来(あした)をささえる」
株式会社セールスエンジ

冷却塔ファンモータが過電流に!試運転で分かった意外な原因と対策

新規納入の冷却塔で発生したトラブル

こんにちは、今回は冷却塔ファンモータの過電流トラブルについて、実際にあった試運転での事例をもとに解説します。

「モータ電流が高いまま下がらない」「定格を超えそうでヒヤヒヤする」こんな経験された方に役立つ内容です。

冷却塔ファンモータの正常な電流値とは?

冷却塔のモータは、定格電流値の80~90%程度で運転されている状態が一般的に「正常値」 とされています。

例えば定格が20Aのモータであれば、16〜18Aあたりで安定していれば問題ありません。

逆に、定格に近い電流値で回っている場合は、モータに大きな負荷がかかっており、過負荷や焼損につながる恐れがあります。

新規納入の冷却塔で発生したトラブル

実際に、新しく納入した冷却塔の試運転でこんなことがありました。

モータの定格電流値は20.0Aなのに、実際の運転では 19.92A と定格いっぱい。

「このままでは過電流で止まってしまうのでは?」と現場は緊張しました。

最初は「Vベルトがまだなじんでいないから高いのだろう」と考えました。

しかし、数時間経っても一向に電流値は下がりません。メーカー出荷時の検査記録にも異常はなし。

現場での運転だけ電流が高くなる原因が分からず、試運転がストップしてしまいました。

アンペアメーター

電流値が下がらない原因は「空気の比重」

徹底的に調べた結果、ようやく原因が判明しました。

それは、外気温と水温が低かったため空気の比重が重く、ファンに負荷がかかっていた というものです。

  • 工場試運転時(8月):外気温32℃、水温も高い → 空気が軽く、ファン負荷が少ない
  • 現場試運転時(11月):外気温20℃、水温17℃ → 空気が重く、ファン負荷が増加

冷却塔は「温かい水を空気で冷やす装置」です。
本来であれば温かい水を通すことで、吸い込んだ空気は熱をもらい軽くなり、ファンの負荷も下がる仕組みです。今回は水温が低すぎたため、その効果が働かず、モータ電流が高くなっていたようでした。

ワンポイントアドバイス

真冬など 水温が低い時期にファンを回しっぱなしにすると、モータが過負荷で焼ける危険性 があります。

そのため、以下のような対策をおすすめします。

  • 水温を検知してファンをON/OFF制御 する

  • インバータ制御で回転数を下げる

  • 定格の80〜90%の範囲に収まっているか定期的にチェックする

まとめ

冷却塔ファンモータの過電流は、必ずしも故障とは限らず、外気温や水温によっても大きく左右されます。

ただし、定格電流値の80〜90%を超えて運転している場合は要注意。季節や運転条件に応じて制御を工夫し、定期的に点検を行うことで、安定稼働と設備保護につながります。

記事を書いた人

杉山 哲也

株式会社セールスエンジ 代表取締役社長

杉山 哲也

「冷えない」「流れない」「詰まる」その時の不安を、すぐに解消できる存在でありたい。工場の安定稼働を陰で支える“縁の下の力持ち”として、冷却塔の管理に取り組んでいます。
このブログでは、専門的な内容をわかりやすく嚙み砕き、設備担当者の方がすぐに活かせるヒントを発信しています。
対応エリア:九州北部(福岡・熊本・佐賀・長崎・大分)

公式SNS