冷却塔の基礎知識:スケールとスラッジの違いと対策法
冷却塔(クーリングタワー)の障害でよく混同されがちな「スケール」と「スラッジ」の違いについて詳しく解説します。
スケールとは?
スケールは、水中に含まれるカルシウム、マグネシウム、シリカなどが析出して硬くなったもので、石のように硬い堆積物です。冷却塔の運転中にこれらの成分が結晶化し、配管や設備に付着してしまいます。
スケールの特徴
- 成分:カルシウム、マグネシウム、シリカなど
- 外観:硬く、石のような質感
- 発生原因:水中のミネラルが高温や濃縮により析出
- 対策:水処理薬剤による結晶の破壊と分散
水処理薬剤はスケールの結晶を破壊し、結晶が針状から丸い形に変わり、互いに付着しないようにします。この作用によりスケールの析出を防ぎます。
写真は、密閉式冷却塔(クーリングタワー)の銅チューブにスケールが析出した様子です。

スラッジとは?
一方、スラッジは冷却塔の外部から風と共に入ってくる塵や埃、雑菌の死骸などが堆積した泥状の物質です。スラッジは堆積し乾燥すると固くなるため、スケールと似た外観になりますが、性質は異なります。
スラッジの特徴
- 成分:塵、埃、雑菌の死骸など
- 外観:泥状で乾燥すると固くなる
- 発生原因:外部からの汚染物質の侵入
- 対策:分散剤による粒子の浮遊と排出
スラッジは水処理薬剤の分散作用によって粒子が水中に漂い、沈殿しないようにします。これにより、定期的にブロー水を排出する際にスラッジも一緒に排出されます。
写真は、冷却塔の下部水槽に堆積したスラッジです。

スケールとスラッジの管理
冷却塔のメンテナンスには、スケールとスラッジそれぞれに対する対策が必要です。
- スケール防止:結晶破壊剤と分散剤を併用し、スケールの形成を防ぎます。
- スラッジ管理:薬剤でスラッジを分散させ、定期的な清掃で堆積物を除去します。
動画で解説
YouTubeの動画では、スケールとスラッジの違いについて解説しています。ぜひご視聴ください。
まとめ
冷却塔のメンテナンスでは、スケールとスラッジの違いを理解し、それぞれに適した対策を講じることが重要です。スケールは水中のミネラルが析出して硬くなる堆積物で、水処理薬剤による結晶破壊と分散が効果的です。一方、スラッジは外部からの汚染物質が堆積した泥状の物質で、分散剤を用いて浮遊させ、定期的に排出することが必要です。
記事を書いた人
