Vol.71 コンプレッサーの圧縮空気温度が上昇!冷却水系統のスケールを化学洗浄した事例
こんにちは、冷却塔トラブル改善プロ、株式会社セールスエンジの杉山です。
今回は、IHI製レシプロコンプレッサーの圧縮空気温度が上昇し、冷却水系統のスケール化学洗浄を行った事例をご紹介します。
コンプレッサー本体に異常が見当たらなくても、インタークーラーやアフタークーラーなどの冷却水系統にスケールが付着すると、冷却性能が低下することがあります。
今回も冷却水が通る部分に多くのスケールが付着していました。

圧縮空気の温度上昇、その原因は冷却水系統でした
レシプロコンプレッサーでは、圧縮によって高温になった空気をインタークーラーやアフタークーラーで冷却します。
そのため、冷却水側にスケールが付着すると、水は流れていても十分に熱を逃がせない状態になります。
イメージとしては、熱を伝える金属表面にスケールという「断熱材」が付着したような状態です。
今回の設備でも、圧縮空気の温度が上昇していたため、インタークーラー・アフタークーラーの冷却水系統を化学洗浄することになりました。
配管内部にはスケールが大量に付着
実際にアフタークーラー出口配管を確認すると、配管の内側にスケールが厚く付着していました。
資料のBefore写真を見ると、本来の配管径よりも流路がかなり狭くなっていることが分かります。洗浄後のAfter写真では付着物が除去され、配管内部が見える状態まで改善しています。インターアフタークーラー洗浄内容
このような状態になると、
- 冷却水の流量が低下する
- スケールが熱の伝達を妨げる
- インタークーラーやアフタークーラーの冷却性能が低下する
- 圧縮空気の温度が下がりにくくなる
といった問題につながります。
冷却水が流れているから大丈夫、とは限らないんですね。
洗浄前配管内部 Bfore

洗浄後配管内部 After

スケールの種類に合わせて2段階で化学洗浄
今回のポイントは、一種類の洗浄剤だけでは対応しなかったことです。
まずカルシウム系スケールを洗浄
最初にカルシウム系スケールを対象とした塩酸系洗浄剤を使用し環洗浄しました。

洗浄中は薬剤を入れて終わりではありません。
洗浄剤の残存濃度を測定しながら10%濃度を維持し、カルシウムとの反応によって濃度が低下した場合には薬剤を追加しています。そして、濃度低下が止まったところを一つの目安として洗浄を終了しています。
洗浄は感覚でおこなわずに、数値で管理し洗浄時間などを決めています。

次にシリカ系スケールを洗浄
カルシウム系スケールを処理した後は、シリカ系スケールを対象としたフッ化物系洗浄剤を投入し循環しました。

この工程では付着物が剥がれ、一気に汚れが排出されています。
スケールといっても成分は一つではありません。
そのため、「スケールが付いているから酸で洗えばいい」という単純なものではなく、付着しているスケールの種類を考えて洗浄方法を選ぶことが重要です。
化学洗浄は「強く洗えばいい」わけではありません
ここも大切なところです。
スケールを落とすことだけを考えて薬剤濃度を高くしたり、必要以上に長時間洗浄したりすると、設備側の金属まで傷めてしまう可能性があります。
今回使用したシリカ系スケール用洗浄剤についても、資料では塩酸系洗浄剤と比較して金属腐食が進みやすいため、長時間の洗浄には注意が必要とされています。
そこで洗浄中は、銅イオンの測定も行いました。

スケールが除去されて金属表面が露出し、銅の溶出が確認されたため、その時点で洗浄を終了しています。
つまり、
スケールを落とすことと、設備を傷めないこと。
この両方を考えながら洗浄する必要があります。
洗浄前と洗浄後では配管内部が大きく変化

今回のアフタークーラー出口配管は、洗浄前には内面に厚い付着物が確認できました。
化学洗浄後は、その付着物が除去され、配管内部が確認できる状態になっています。
こうした状態を見ると、冷却水系統のスケールが設備に与える影響の大きさがよく分かります。
外から配管を見ただけでは、内部がここまで詰まっているとはなかなか分かりません。
コンプレッサーの温度上昇は冷却水側も確認する
コンプレッサーの圧縮空気温度が上昇すると、どうしてもコンプレッサー本体の異常を疑いたくなります。
もちろん本体側の点検は必要ですが、同時に確認してほしいのが冷却水側の状態です。
特に長期間使用している設備では、配管や熱交換部分の内部にスケールが少しずつ蓄積していることがあります。
「冷却水は流れているのに、以前より冷えなくなった」
「夏場になると圧縮空気温度が上がる」
「冷却水の入口と出口は問題なさそうなのに、コンプレッサーの温度が高い」
こうした症状がある場合には、冷却水系統内部のスケールも疑ってみる必要があります。
また、化学洗浄でスケールを除去して終わりではありません。
なぜスケールが付着したのかを確認し、その後の冷却水の水質管理を見直すことも重要です。
せっかく洗浄しても、水質管理が変わらなければ、再び同じ場所にスケールが付着する可能性があるからです。
まとめ
今回は、IHI製レシプロコンプレッサーの圧縮空気温度上昇に対して、インタークーラー・アフタークーラーの冷却水系統を化学洗浄した事例をご紹介しました。
今回のように配管内部へスケールが付着すると、冷却水が流れていても熱交換性能が低下することがあります。
また、スケールにはさまざまな成分があるため、化学洗浄ではスケールの種類に合わせた薬剤の選定と、設備を傷めないための洗浄管理が重要になります。
コンプレッサーの温度が以前より高くなった場合は、コンプレッサー本体だけでなく、インタークーラーやアフタークーラー、冷却水配管など、冷却水が通る経路全体を確認してみることも大切です。
そして、スケールを除去した後は再発させないために、冷却水の水質や濃縮状態などを確認し、日頃の水質管理につなげていくことが設備の安定稼働につながります。
ご一読くださりありがとうございました。
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